「書架の探偵」その2

案の定依頼人が怪しくなってきた

書架の探偵 (新☆ハヤカワ・SF・シリーズ)

書架の探偵 (新☆ハヤカワ・SF・シリーズ)

警察やらなんやらに捕まって情報聞いていくうちにコレットがどうにもこうにも嘘を付いていたことがわかってきたようだが。
なんというかこれはコンラッドコレットである可能性もでてきたな。
コレットが胡散臭い点については、割りと初期の描写からもわかるが。指定していた人物しか入れないマンションに強盗入って来たとか。セキュリティシステムにハッキングした可能性があると言っていたがミステリ的に考えるなら可能性は低い。大体そんな手があるならコブを殺す意味がない。

それにしてもなんか読み逃していた情報が、あとでぽっと出てくるのが面倒。
慈悲深きメイド社とか、アラベラとか。アラベラはP44で急に名前出てきたと思ったらアーンの元妻だったらしい
面倒なので初登場のページを載せておく

  • アラベラ・リー P23
  • 慈悲深きメイド P44
  • べティーナ・ジョーンズ P44

コンラッドコールドブックシニアが生きているというのはどういうアレなんでしょうね。クローン?それとも死んだふり?
警察側はシニアが死んだとか言ってたかな。
シニアがハゲだったって本当か?逆にフサフサである描写なんかあったか?
屋敷に火星の本隠した描写がどこにあるのかが見つからないのでなんとも気持ち悪い。
それにしてもこの主人公は何でこんな怪力あるんかね。

「梅原北明探偵小説選」その1

う行の作者の辺りでぶらついてたら見つけた本

特急「亜細亜

スパイ小説と思わせといて、戦意高揚作品。なんか途中で路線変更した挙句打ち切りになったような唐突さで終わる。
前半のロシアで起こった殺人事件と、それがやがてスパイ合戦まで拡大していくさまは面白かったが
日本人女給の並木のエピソードあたりからつまらなくなってゆく。スパイ本を読んだ女給がロシアから逃亡した赤軍将校と丁々発止の騙し合いでもするのかと思ったら、謎の設計図を手に入れたあとは、恋慕する並木大尉に知らせるべく、噂を聞いては満州やら上海やら出かけるがいつも一足お先に旅立っているというね。なんともフラストレーションのたまる展開に。
戦地をあっちへ行ったりこっちへ飛んだりしているあたりは何か、日本の大陸における勢力図を国民に知らせるために書いてる従軍小説みたいな感じがしてくる。
結局逃亡したウドーベンはどうなったんだ?とか
逃亡先を上海と目を付けて向かったペトロウェッチェは何してんの?とか
色々と疑問は残る
だいたい暗号文書を写真に撮らせたみたいなこと書いてあったが、あれあぶり出しの図面でしょ?全部あぶり出したの?

「誰の息子でもない」

案の定よくわからん話だった

アバターを作ってそれを使ってネット上で調べ者をしてもらうというアレ。どっかで聞いたな。原点としては「帝王の殻」のあの棘ボールかな。最近のでは、「夢見る猫は〜」(八杉)にあった気がする。

耳につけるネットカムコムという道具を使って、ネットに接続し同時に自身の性癖やらをアバターに同期させている。というものらしい。
でこのアバターは使用者の脳の一部の領域を使用して存在しているのではという疑惑が生まれている。実際はネット上で存在しているが、アバター使用中に活動している脳の領域が、ネット切断後も活動し続けているかららしい。死者のアバターが現れたことから何故かこの理論が現実味を帯びてくる。
しかし二章になるとそんなのできるのは主人公だけってことになってる。

主人公は市役所で、死んだ人々が生前作っていたアバターを削除する仕事についている(管理会社に何か問い合わせるとかはしないらしい。直接アバターとコンタクトを取って消すらしい。そもそもどこの会社がこんなシステム作ったのかは語られていない)。上司の母親のアバターが現れたと相談を受けた直後、自分の前にも自分と母を捨てて死んだはずの父親が現れる。勿論それは父親ではなく父親のアバターらしいが、前述の理論に寄り、現実空間に実体となって存在しているように見えている(主人公にとってはだが)。(頭の中にアバターが存在して脳の領域使用して語りかけているってなんとも気持ち悪いな。というか、存在しているとしてもそれを現実の実体として感じるなんてことはあり得るのか?)
結局その父親を病床の母親のところに連れて行って合わせるが、そしたら今度は実体の母親(アバターの方ではないと言う意味。母親はしゃべれないので大抵のコミュニケーションはアバターで行っているらしい)の方から、自分が息子ではなく、単なる市役所の人と認識されていると言う事実に驚愕する。ボケているのでは?と言うツッコミに対してはボケていないと言う主人公の弁明が入る。
このあと更に、父親のアバターから、お前は息子ではなく息子のアバターだと告げられる。
ここでこの主人公は実は誰かの体の中に入り込んだアバターなのでは?という疑惑が生じる。自分の体だと思いこんでたら他人の体でそのまんま自分の母親の面会に行っていたのでは?と考えれば話は通るが、あとの話で単なる認知症だった事になってる。
結局市役所の電算室にバズーカ打ち込めば解決すると父親のアバターにそそのかされて実行するが、別に解決はせずに父親のアバターは勾留中の主人公の頭に巣食っている。

御子

逮捕されたあとなんやかんやあって、情報部のKとネット上の死者のアバターを作り出している宗教法人?の殲滅と、アバターを作り出せる御子をどうにかする仕事をする羽目になる。
肝心の電算装置が金庫にあるとかで金庫破壊して終わったと思いきや、御子は何故か主人公の脳内に生きていて、主人公が何か細工して勾留所のドアにドアノブ追加してそこから脱出させることで消滅させたらしい。
え何どういうこと?と思われるかもしれんが俺も読んでて何がなんだか意味がわからなかった。ビジュアル的なイメージはわかるがなんでそれで消えるのかは謎。

誰の息子でもない

待遇は良くなったままなのに、相変わらず拘置所ぐらしの主人公。今度は温泉で無のアバター退治をすることになった。
誰でもないアバターが存在しているそうなのでそれを退治する。やり方は口に含んだ酒をふりかけて、ふりかけたやつそっくりになったところを物理的に破壊する。なんでネット上の存在のアバターをグーで殴って殺せるのかは不明。特殊能力持ちの主人公だけができるってわけでもなくKも出来る。ここらへん本当何やってるか不明。大体どこで行われてるんだこのネズミ退治。
ネット上のカオナシアバターをおびき寄せてたとか言ってたが。温泉宿にネット接続環境あるんだろうか?ネットに接続してない人から見たらこの二人、裸でエア空手繰り広げているように見えるのだろうか?
なんだかんだやって結局野ねずみがこのアバターの正体と分かって、Kの組織はネズミ退治を始めたそうな

で父親のアバターはここに至って完全消滅する。正体は母親の作り出したアバターだったらしくて、母親の打ったオーデン改により消滅した。(なんで?)
そういえば何で実体のないアバターを殺すのにオデン改が必要なんだろ。


変に思索的なのはいいんだけど親父のアバターの説教臭いのにはうんざりしてしまった。ファンだったら「『ウザい親父』を体現させるためにこんな風な言動をさせていて、君がそう感じるのなら、作者の意図は見事に成功している」などと宣うのだろうか。
原発事故と9.11に着想を受けていることは明らかで、当時東京に住んでいただけにこの手のやつはいい加減ウンザリしつつある。あの当時東京で何かが変わったかと言われると結局何も変わらなかったことは明らかなので。シンゴジラも9.11の影響度高そうだし。
主人公が父親のアバターに対して「時代が違うんだよ」と言わせてるあたりも、作者も年食ったなと思わせる作品。

とは言えまともに読み終えられたんだから、過負荷都市やらライトジーンの遺産なんかに比べるとだいぶマシな作品と言える。
「鏡像の敵」の一個上ぐらいか

「なんでもない一日」シャーリイ・ジャクスン その1

初心者向け

なんでもない一日 (シャーリイ・ジャクスン短編集) (創元推理文庫)

なんでもない一日 (シャーリイ・ジャクスン短編集) (創元推理文庫)

スミス夫人の蜜月(バージョン1)

シャーリイ・ジャクスンの割に分かりやすくて面白い。逆にあっけないぐらいだが。

買い物に行ったところ近所の住人から変な目で見られて、隣人からも警告を受けるスミス夫人。理由は最近結婚した夫のことについてだった。3x歳にて未だに未婚だった夫人は、スミス氏との出会いによりこの度結婚することになったのだが。隣人は彼女の夫は、かの新聞に乗っている、妻を殺害している殺人鬼ではないのか?というのだ。
顔や、現場となった家と二人の新居となる家は似ているが、3x歳にて初めての結婚という事態に浮かれる新妻は、そんな隣人の警告には耳を貸さない
そして夫が帰ってきて、いまからその新居へ行こうと提案したところで話が終わる。

ええ、これはかなり分かりやすい話ですね。完成度高いというか、むしろ何でこれでバージョン2を作る必要があるのか?と思うくらい分かりやすい。
一体これ書いたのはいつごろで、なんでバージョン2にしたのか?と言うところが気になるところですね。ありがちすぎて、ウケなかったのか……?

スミス夫人の蜜月(バージョン2)――新妻殺害のミステリー

上記のバージョン2。こっちはいつものシャーリイ・ジャクスン。つまりなんかわかりにくい。
結局、殺そうとしていたのは夫側ではなく主人公側だったのか?それとも、殺されたがっていたのか?

ストルガツキィ「ストーカー」その1

例のロシア産fps「STALKER」の原作

ストーカー (ハヤカワ文庫 SF 504)

ストーカー (ハヤカワ文庫 SF 504)


例のロシア(だったかな)産FPSゲーム「STALKER」の原作、と言うか原案。映画化もしているらしいから割と有名らしい気もする。

ロシアだからスタニスワフレムみたいに難解なのかと思ったらそうでもなく割りと面白い。

7つのゾーンが出現した。ノーベル賞受賞した博士によるとこれは地球外から地表へ向けて7つの弾丸が撃ち込まれたようなものだと。ゾーンの中では一見朽ちた廃墟に見えながらもそれまでの地球にはあり得なかった物理法則に従うお宝が出現し、それを目当てにストーカーと呼ばれる人種がゾーンに侵入し、品物を持ち出すようになった。
大体ここらの情報が冒頭で出てきてくれるので分かりやすい。
大体は、ストーカー「赤毛」の視点をメインに話は進んでゆく。

ジーン・ウルフ「書架の探偵」その1

ジーン・ウルフなのに面白い

書架の探偵 (新☆ハヤカワ・SF・シリーズ)

書架の探偵 (新☆ハヤカワ・SF・シリーズ)

ジーン・ウルフと言えば、ただでさえ意味わからんSFがさらに言葉遊びやら入り組んだ設定で読者をケムに巻くと言うイメージだったのだが、今回のはどういう訳か面白い。
最初に読んだジーン・ウルフ作品がよりにもよって「ケルベロス第五の首」だったせいもあるのだろうか。とにかく詰まらない作品を書く人と言うイメージだったのだが、どういう訳か今回は楽しめている。と言ってもまだはじめの方だが。蔵者が貸し出されて一晩経ったあたり。
訳者の違いか?ケルベロスの訳がアレだっただけなせい?
未来なのに変に建物が古風な感じがするのは、なるほどジーンウルフ「らしい」とは思えるけど。まあ、建築やらの技術が発展しても昔の造形を真似するのは今も同じだしなぁ。
今のところは面白いと文句なしに言える。先の展開がどう転がるかは何とも言えないけど。
表紙もなかなか良いのだけれど、早いとこ文庫版を出して欲しい感じでもある。USJとか文庫だとめっちゃ薄かったしな。

「墓標都市」その1

墓標都市 (創元SF文庫)

墓標都市 (創元SF文庫)

核戦争後の未来、地上を捨て地下に移り住んだ人々。そこでイーオンフラックスの主人公みたいな女刑事が捜査をする話。

正直な話、表紙買いなので、「名探偵登場」同様読み終われる確率が低くなってきた。
視覚イメージは浮かべやすいんだがなんとも長そうで。