「わざと忌み家を建てて棲む」その2

解決編のない「作者不詳」

わざと忌み家を建てて棲む

わざと忌み家を建てて棲む

なんというか、幕間で若干のミステリじみた視点からの解釈?解決編らしきものはあるが、最後の以外はちょっとした気づき程度のもので、スッキリ解決するようなものではないのが残念

幕間(1)

頭三会の帰りに出くわした怪異のような現象の話。まあ、単なる気の所為とかでしょってギリギリ言えるレベル。
しかしまぁ、前から見たら白、後ろから見たら黒の怪人ってまるで江戸川乱歩のD坂の殺人事件みたいだな。
次の記録読んである間になんか怪奇現象が起こるかもしれないよというありきたりな警告が入る

赤い医院

まるでボイスロイドホラーゲーム実況。
烏合邸の一つである赤い医院の探索を依頼された女子大生の録音記録を書き起こしたという体のストーリー。

ただまあやってることは要するに実況動画の音声のみの版みたいな感じで、生の人間のやる実況動画だととにかく騒がしいのだが、これはわりかし状況説明をしてるんでボイスロイド実況の方に近い感じがしますね。
はっきり言って屋敷が入り組みすぎてて今どこをどう通ってんのって言いたくなったり隠し部屋がある辺りもうホラーゲームじみてるよねっていう。
結局この主人公は怪異「黒い人影」が三人ぐらい出てきて囲まれたせいでDead Endになったようです。

前回まで屋敷の色に合わせて黒だの白だの言ってた割に赤影が出てこなかったね。

幕間(2)

前にやったみたいに、うちに怪異がやってきた系のお話。
うーん。作者不詳みたいに完全ファンタジーでやってくれるんならお話として面白いが、作者が実際体験しました!みたいなテイストでやられるとクソ萎えるよね。
テープはぶっちゃけダビングして、何分から何分まではどこどこの業者、その後何分から何分までは他の業者。みたいに分割して発注したらええんちゃうって思うんだけど。
ていうかそうでもしないとできなくないかこれ?
とりあえず全部聞くとなにかが来るなら、全部聞かずに途中までとか途中からとかなら問題ないんちゃう?
それにしても作者は昔編集業をしていたらしいが、やっぱりそういうオカルト系の編集してたんだろうか。

青い邸宅

超心理学者を名乗る研究者が烏合邸の洋館で怪異を体験する話。
温度感知センサーとか使ったりそれと連動して自動でシャッター切るカメラとかまた典型的に胡散臭い感じ
それにしても写真には撮ったときには出てこないけど、時間が経過すると足跡が映るってのは証拠としてどうなん?みたいな気がするんですが。
下手すると発表してるときになったらまた足跡や足音消えてるって可能性大なんだが。

オチというか霊媒の正体とかは誰でも感づくホラーかなぁ。別に悪くはないけど。
てっきりこのサトオって同作者の他の短編とかに出てくる登場人物でしたみたいなオチと思ったのに。

終章

4つ全部終わったのでこれ本にしようねって話。
にしても住んだ住人の記録4つしかないのか。もうちょいたくさんありそうな気がしてたんだが。名前的に


あとは、白い屋敷の縁側から玄関まで行って出たって描写がおかしいとか言う指摘があったり。
あれやっぱおかしな描写だったんだ。この作者によくある説明下手な地の文のせいで矛盾した描写になってるんだと思ってた。
が、この手のおかしな描写の指摘はこれっきりで全体の矛盾点をつくとかいうのはなかったな。
烏合邸の真ん中にもう一つ部屋があったんなら、黒い部屋の子供が言っていた烏合邸の真ん中にあった目玉みたいなものの正体もわかりそうなんだが。
結局黒い部屋の8月以降の描写の謎も匂わせるにとどまってて烏合邸が崩壊したのかどうかも謎という。
うーん下手にカタストロフ入れないほうがいいこともあるけどね。描写が下手だとがっかりすること多いし。

あとは赤い医院を書き起こすときに怪異が起きるので業者に発注したとかの話。と青い邸宅読んでるときの怪異回避をどうするかって話。
うーん。描写見てるとやっぱどこにいても無駄臭いよね。
怪異から逃れるにしても閉鎖空間であればあるほど大抵は怪異側の思うつぼみたいな感じになるし。
今回わざわざ間接的に訪ねてきてるわけだから、人間を壁に使うのが一番手っ取り早そうだよね。もしかしたら烏合邸も人間を盾にして真の住人を怪異から守るための屋敷だったのかもしれないね

「わざと忌み家を建てて棲む」その1

レトルト使えるんなら昭和43年以降は確実では

わざと忌み家を建てて棲む

わざと忌み家を建てて棲む

序章

ここから話される数編の怪奇掌編のきっかけの部分。
編集の三間坂の実家への奇妙な訪問者をきっかけに蔵から発掘された2つの日記?に関わっていく三津田信三と編集三間坂という導入。「作者不詳」じみてるね。
この日記に搭乗する烏合邸というのが幽霊屋敷を合体させて作ったとか言うなんとなく「13ゴースト」を連想させるような建物。
製作者はこの屋敷を作って人を住まわせてどんな怪奇現象が起きるかを観察していた模様。
作ったやつの意図がこれから解説されるのかどうかは不明。
「ねじの回転」に関する記述がある。実際面白いのかねあれは……。「ホーンティング」の原作小説に登場するセリフがなんだか意味深に出てくるが現段階では大して怖いセリフにも思えない。まあ、ホーンティング自体も対して怖くないと言うか…面白くはなかったんで…

黒い部屋

烏合邸の黒い部屋に引っ越してきたシングルマザー親子の日記。
短編だけにメリハリあってダラダラ続かないので割と面白いが、かなりの謎が放置されたまんま終わる。最後は崩壊して終わる
住むとその期間に応じて報酬が支払われるという烏合邸にやってきた親子とその周りで起こる怪異の話。
 
途中で幽霊らしき女の子がいきなり現れて、母親はこれを自分の娘だと思いこんでるって描写があるが、そもそも増えたのは本当に娘の方なんですかねぇ……後々の描写見ていくとこんなところで子供がおとなしくしてるはずもないから相当嫌がってたりするんじゃないのか?

白い屋敷

白い屋敷に住むことになった小説家志望の話。
前作で親子の住んでた部屋が黒焦げのマンションの一室だったことが明かされる。
まあそりゃタダシくんも嫌がるよね。
それはそれとしてそんなとこ住んでたら手足どころか全身真っ黒にならんか?子供の方は手足だけじゃなくて胸尻も黒い墨ついてたらしいし。どうやったらつくんだそんなトコ
白い部屋は名前と違って古い日本家屋。土間かまど付き。そこにガスコンロと炊飯器おいて生活してるって状況。
水道通ってんの?というか、そんな古い家に網戸とかあるの?
出てくる怪異は玄関からくる白い影、夜になると座敷を動き回るアザラシみたいなの。あと藁船
途中のある描写が「シャイニング」かな?と思ってたら終わりにほんとにそんな感じになってんな。

幕間(一)

途中
いやー今どきはネットに同じアイデアないかググってから始めるらしいしそれはないでしょ~。
日記の書かれた時期とかに関する考察とか愚痴系。
しかし、この屋敷が実在するって前提で話してんのには参るね。まあ、残穢的なのと考えるとこのノリもわかるが。
しかし年代特定となると面倒くさいというかそれ必要なんだっけ?とも思う。
あと作中の屋敷は実在するアピールも別にいいかな……
そもそもこの2つの日記が同時期のものだって証拠はないしな。たまたま似た環境があったみたいなオチも可能だし。
それにしても火災のあった団地の一室を持ってきたってどうやったんだろうね。
子供に対する虐待に関してやたら嫌悪感を持ってる描写があるが、これは「ホラー作家の棲む家」の一家殺害事件の犯人が三津田信三だったことに関連してるんかね(無罪アピールとか罪悪感の表現的な)

黒い部屋のは実は怪異なんかなくて、あの母親がおかしくなって二人いる子供の片方を認識しなくなってるとか、虐待してるとか。あえて書いてないとか可能性ありそう。なんだけど取りあえず家の仕業みたいな方向に行ってて残念だな。
白い部屋の方は完全に怪異実在する臭いからホラー系統になるね。
インスタント食品って言葉がでる辺りからするとチキンラーメン発売以降の昭和33年以降か
そもそもチキンラーメンばっかり食うなんて無理だからとレトルトまで含めると昭和43年以降となるかな

「マーダーボットダイアリー上」その1

人間と機械のハイブリットロボットが海外ドラマ見る合間に人助けしたりしなかったりする話

あんまり見たことのないタイプのSFだな……

システムの危殆

一人称が「弊機」で「マーダーボット」を自称する警備ロボットの話。(この一人称、兵器とかけてるのか?)
とある惑星への調査へ向かった連盟の調査チーム。調査中に地下からの謎の人食いワームが現れ、調査員一人がさらわれる。このときはマーダーボットのおかげで事なきを得たが、これをきっかけに、調査用マップの不備、キャンプ地を統括するOSへのハッキング、移動用ホバークラフトの自動操縦が切られるなどの未知の敵からの攻撃を受けていたことが明らかに。更には別のキャンプ地にいたチームとも連絡が取れなくなるという事態が発生。
別キャンプ地へ向かうもそこには調査員の死体とハッキングされて攻撃を仕掛けてくる警備ロボットが待ち受けていた。危うく主人公のマーダーボットもハッキングされそうになるがどうにか回避してもとのキャンプ地へと戻る。
マーダーボットとの相談の上、キャンプ地を放棄してほかへ隠れることにして敵を待ち受けていたが、敵からの誘いを受ける。敵地へ行ったところでなんとかハッキングされたふりしたりして制圧して、無事外縁軌道上からの救助隊によりチームは無事救助された
その後チームの主任の判断によってマーダーボットは買い取られ、保証会社から自由になり、自分たちの国へ来ないかと誘いを受ける。
調査惑星での諸々の出来事を称えるセレモニーの最中にマーダーボットはこっそり会場から抜け出し、他のロケットへ搭乗するのだった

うろ覚えだけどそんな感じだったか。
基本的にマーダーボット視点でこれらが描かれる。
結局調査隊を邪魔しようとした奴らの意図とか何者であるとかの詳細は明らかにならなかったな。
短編集?なんでこのあともう一編あるがそちらは未読。まぁ…そこまで続きが気になるものでもないかという印象。
敵の正体は後で明らかになるのかと思ってたけど特にそんな描写はなかった。なんだったんだろう。

マーダーボットが自分を「殺人機械(マーダーボット)」と呼んでいるのは、過去にゴーストハックされて警備対象を大量殺戮してしまったことに由来するらしい。
統制モジュールなるものをハッキングして、人間の命令を無視できる様になっているらしいが、この統制モジュールなるものがどういうものかは特に解説されない。外部インターフェイスとか見たいな感じかな。
外見は人間のようだが中身は機械っていうターミネーター式なのかと思ったら、思考部分には機械と生体モジュールの両方が関わってきているようで、AI+人脳みたいなややグロテスクな警備ロボットのようだが。その割に外形の生体部分を破壊されてもケロリとしてるね。
事件起こしてからはしばらく倉庫に保管されてたらしいが、生体部分あったらすごいメンテナンス大変そうなんだけどどんな保管のされ方してたんだろう

アーサー・C・クラーク「2001年宇宙の旅」その1

映画見てから読むのが正解

にしてもダサい表紙だな・・・・・・
原題を全面に押し出したほうがまだマシなんじゃないかな。フォント選びのセンス的にも
 
以前に読もうとして冒頭から挫折して放置しておいたのだが、映画も一応見て、あの結末の意味が本だとちゃんと書いてあると聞いたのでリベンジしてみることにしました。
昔は映画見る前に原作読むのが正義と思っていたからこれも映画見る前に読もうとしたのだが、これが失敗だった。難解過ぎるので映画のビジュアルの助けがないとなんかあまり乗れない。
しかし、今はまぁアマゾンプライムあたりですぐに見れるけど、それまでの20年ほどはどうしてたんだろうねみんな。レンタルして見てたのかな。正直、映画見ずにいきなり小説から入るのは無理無駄無謀というか……しかしレンタル店にはなかなか置いてなさそうなんだけどな。「1984」すら置いてないし。本当にどうしてたんだ。

夢野久作「死後の恋」

解釈としてはお化けとか幽霊落ちなのかね

死後の恋 (立東舎 乙女の本棚)

死後の恋 (立東舎 乙女の本棚)

  • 作者:夢野 久作
  • 出版社/メーカー: 立東舎
  • 発売日: 2019/12/19
  • メディア: 単行本

落語調なせいか「あっ、消えた」とか「こんな顔だったかい?」みたいな落ちにしか思えんのだが…‥イラストもなんかそんな感じだし…‥

同シリーズの「瓶詰地獄」の方はいろいろ新しい発見者有ったから買ってみたけど、今回は特に新しい解釈とかは見つからなかったな‥…

瓶詰地獄 (立東舎 乙女の本棚)

瓶詰地獄 (立東舎 乙女の本棚)


話としては落語風な語りで、語られるとあるキチガイの体験談。
話としては、一緒に軍隊にいて仲良くしてた奴が実は女だったんだけど真相知ったのが、その女が敵軍にレイプされて殺された後だったという話で。
いわゆる、おまおんNTR
結局、死後の恋とか言ってるのは膣に撃ち込まれた石ころを宝石と勘違いして後生大事に持ってるあたりかね。
最後のやりとりからしても宝石ではないっぽいよね。実際のところは友人がレイプされて殺された死体を見てしまった辺りで気が狂ってしまったのでは?

追記

今のタイミングで「死後の恋」出したのは何でなんだろう?もしかしてFGOでアナスタシアが出たからか?とちょっと考えたが、元々有名タイトルなんで「乙女の本棚」にぴったりだと思ったに違いない。中身はあれなんだが……

ところで最後の
「ああッ……
アナスタシヤ内親王殿下……。」
だが、最初読んだときは「え?誰?」「なんか急に知らんキャラの名前が出てきた」「誰だよアナスタシア内親王殿下って」となったのだが、
とある解説によると、アナスタシア皇女のことらしい。
ja.wikipedia.org
最後のロシア皇帝ニコライ2世の娘で要するに第4皇女。最後は革命軍によって家族揃って銃殺されたという。
が、どういうわけかアナスタシアだけは処刑を免れ生き残ったという「伝説」が生まれてしまったそうな。
夢野久作はこれに感化されたのか「氷の涯」でアナスタシアが処刑を免れ、愛人の日本人将校と氷の海を渡って日本へ向かったという筋の話を書いている。
からしてみるとアホかとしか言いようがないが、その当時にはさも本当らしく語られていたのでしょうね。だから、現代人からするとナンノコッチャと言いたくなる話なんだが、こういう話はおそらく当時としては誰もが知ってた流言飛語の類だったという背景を知っとかないと今回のもわけが解らなくなる。
つまり今回の「死後の恋」でも同じように、アナスタシアは家族の処刑前に秘密裏に軍隊に入れられ男として生活していた。という説で話が進んでいるのだと思われる。
作中出てくるリヤトニコフが、ニコライ廃帝一家が全員殺されてしまったというニュースを聞いて涙しているというのはそういうことなのだろう。
主人公が「まさかに、それ程の身分であろうとは夢にも想像していないのでした」と思うのも当然はある。
おそらく流れとしては、最後に「ああッ……アナスタシヤ内親王殿下」と出すことでリヤトニコフがアナスタシアであったという落ちにしたかったんではないかと思われる。

ちなみに、「ドグラ・マグラ」には「自分を女王だと思いこんでいる精神異常者」が出てきますね。

とは言え、作中ではニヤトリコフ=アナスタシアとは明確に記載はされてないワケで、本当に死んだのがアナスタシアかどうかは怪しいところ。夢野久作が「瓶詰の地獄」で用いたような叙述トリックである可能性も考えられるから、ニヤトリコフはアナスタシアとは関連の無い人物である可能性も十分にある。
じゃあ、最後のアナスタシア内親王殿下は?
おそらく語り部が言っていた「日本軍人」なる人物がアナスタシアだったのではないだろうか

澤村伊智「ずうのめ人形」その2

うせやん……

ずうのめ人形 (角川ホラー文庫)

ずうのめ人形 (角川ホラー文庫)

第三章途中
は?
ええ・・・?
なんか伏線あった?と思って読んでたけど、見事にありましたね。謎だったあの文が。
そっかー、これはアレだな。続編も映像化するのではとか思ってたが……

澤村伊智「ずうのめ人形」その1

Zooの目人形?

ずうのめ人形 (角川ホラー文庫)

ずうのめ人形 (角川ホラー文庫)

タイトルだけ見ると「うまずめ」のアナグラムっぽく見えるし、
作中の原稿中に「ずうのめ人形」には目が入っていると聞いて「ぼぎわん」のときみたいな由来かと思ってたけど

https://www.amazon.co.jp/dp/B07FNHY6VX/
第二章途中
「恐怖小説キリカ」が面白かったので次。
ぼぎわん?ぼぎわんは映画のイメージがまだ強いからなぁ……映画化作品の割に下手に面白いからな……
映画化作品は原作読んだらどっちかの評価下げざるを得ないが、それはしたくないので。

いやぁ……おもしろいなこれは……
久しぶりに面白い小説読んだな……
あんまり簡単に消費するのも勿体ない感じではあるけど、他に面白いものないからしょうがないね。
なんかダレてきたらちょうどいいタイミングで盛り上がるシーン入れてくるのが凄いよな。

変死した編集者の家の現場から持ち出された謎の小説の原稿。その原稿を読んだものの中に赤い糸が見えるようになる人が現れ、やがて……。
というストーリー。連絡取れなくなって原稿取りに行ったというあたりで「幻誌狩り」の黄金の詩のような感じがしたが、まあアレは麻薬のようなものなので本質的に違うか、ドゥバド。
確かに「リング」感はあるが作中「残穢」に言及あるせいかそれっぽい感じもする…。呪い解くために原稿読むあたりやっぱり三津田信三っぽい気もする。
それにしても読んだ人によって内容変わる原稿じゃなくてよかったっすね…。
呪いの由来はちょっと笑ったな。まだ三章有るから何かしらドンデン返し来そうだけど(来るのか?)

都市伝説が怖くないとか言わせたり、現代人の心境に寄せてるのが流石ですよね。何であんなモン怖がるんだろうと思いっぱなしだったけど。あと「見えるんです」系の痛いやつも揶揄してるあたりもね。ああ言うのホントいらないんで……。(作中の人物が言うのとリアルでこういう事言うやつはかなり差異がある)