「梅原北明探偵小説選」その1

う行の作者の辺りでぶらついてたら見つけた本

特急「亜細亜

スパイ小説と思わせといて、戦意高揚作品。なんか途中で路線変更した挙句打ち切りになったような唐突さで終わる。
前半のロシアで起こった殺人事件と、それがやがてスパイ合戦まで拡大していくさまは面白かったが
日本人女給の並木のエピソードあたりからつまらなくなってゆく。スパイ本を読んだ女給がロシアから逃亡した赤軍将校と丁々発止の騙し合いでもするのかと思ったら、謎の設計図を手に入れたあとは、恋慕する並木大尉に知らせるべく、噂を聞いては満州やら上海やら出かけるがいつも一足お先に旅立っているというね。なんともフラストレーションのたまる展開に。
戦地をあっちへ行ったりこっちへ飛んだりしているあたりは何か、日本の大陸における勢力図を国民に知らせるために書いてる従軍小説みたいな感じがしてくる。
結局逃亡したウドーベンはどうなったんだ?とか
逃亡先を上海と目を付けて向かったペトロウェッチェは何してんの?とか
色々と疑問は残る
だいたい暗号文書を写真に撮らせたみたいなこと書いてあったが、あれあぶり出しの図面でしょ?全部あぶり出したの?