「エソルド座の怪人」その1

異色作家短篇集14 アンソロジー 世界篇


まあ、なにかこう、人を引きつけるタイトルのアンソロジーではあるけどなんていうか、別におもしろいもんではないだろうなと言う予感がヒシヒシと伝わってくるね。
異色作家短篇集である事もそうだし、最初の短編からしてこれなので。

容疑者不明

アパートで一人暮らしの元教師が絞殺される。ムフシン・アブドル・バーリ刑事が操作に赴くが、何ら手がかりが見つけられない。まるで、痕跡を残していない犯人に捜査は難航する。そして次の殺人が起き、警察への挑戦であるかのように今度も同じ殺され方をされている。そして連続性をましてついに子供まで殺されるに至っても事件の糸口はつかめないままだった。
そして、ムフシン刑事が署内で絞殺されるに至り、ついに警察長官は死に語るのを禁止するのだった。

謎な話ですね。話はタイトル通り容疑者不明で終わる。死について語るのを禁止するというのは、警察官が殺された為の報道規制なのだが、まあこの落ちの何が面白いのかよくわからない。まあ、普通犯人の糸口というか、ある程度読者の推測の出来る終わり方をするのがミステリーの常道だけど、そう言うところとは全く別のよくわからない落ちを付けて終わらせる変な話は確かに存在する。要するに殊能将之辺りの好きそうな話だ。でも要するにミステリーではないなこれは。
なのに紹介文に「ミステリの愛読者なら、きっとこの短篇をおもしろく読めるはずだ」と書いてる辺りだいぶこの編集者は意地が悪い。