おばあちゃんではない。
- 作者: 桜井信夫,斎藤博之
- 出版社/メーカー: 国土社
- 発売日: 1982/08
- メディア: 単行本
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子供の頃のトラウマ本。自分がSF嫌いになったのは間違いなくこいつのせい。
当時学校の図書館にはシャーロックホームズシリーズ除けば読みたいと思える本がろくになかった。あるのは、岩崎書店のホームズ、ポーがメインの怪奇小説。怪傑ゾロリ、王様シリーズ、海外SFミステリ傑作選、そしてこの創作SFシリーズ。
青い鳥文庫とかは無かったのかな?あったかもしれないが、どっちにしろああいう教科書臭い本を好んで読もうという気にはならなかったのだろう。
子供の落書きの様なグネグネ曲がった絵に生理的嫌悪感をもたらす配色。これが、「創作子どもSF全集」というシリーズだったことに驚きを覚える。どう考えても子供はこんなもの好んで読まないだろう……。子供にトラウマ植え付けたいんかお前はと言いたくなる。
ミステリ系やら冒険SF系が好きだったので怪奇小説系には表紙も相まって気味悪さを感じてロクに読まなかったが、これはそんな怪奇小説とも毛糸の違う不気味さがあった。怪奇小説の表紙は不気味さはあっても絵としての静謐さ完成度の高さみたいなものがあったからなんとかなったけど、これにはそんなもの皆無。本当、企画した奴の頭の中身を疑いたくなるシリーズ。当時はSFがブームだったらしいから、「ワイらも流行りに乗って適当に作家かき集めてきてひと儲けしようぜ」って魂胆だったんでしょうなぁ……。
内容は、まあ、マージナルオペレーション漫画版の一巻の子供版?みたいな?
優秀な兵隊を作るべく(推定)遺伝子操作によって特定の命令を完全に受け入れる特性を持った子供がある年一斉につくられた。10歳辺りまで育った後、里親から引き離され、施設に移された主人公たち。だが主人公は記憶消去命令が効かなかったことで失敗作と認定される。
工業製品かなんかみたく扱われる子ども達というのは、大人から見るとかなりグロテスク(文学的比喩)な代物ではある。こんなもの子供に読ませようと思う事自体どうかしてる。
作者が子供嫌いの念をぶつけた小説と言われても納得しそうである。
ちなみに作者名で検索すると、名著を子供向けに翻案してる人のようで……ああなるほど。かくあるべしといった感じ。
そんなわけであまりの嫌らしさ、というか悪意っぷりに耐えられなくて途中で挫折して読んでなかったのだが、復刊ドットコムで復刊したというニュースで「全巻揃ってなんとたったの四万円でのご奉仕!」とかやってたんでアホかと思って図書館から借り出してきました。
子供の頃読んでもいやな本でしたが、大人になって読んでも嫌な本ですね。全方位に悪意まき散らしてる系。