小野不由美「屍鬼(3)」文庫版

今巻は比較的薄いので割と早く読めました。でも次回以降は前巻と同じぐらいの厚さあるんだよね……


いきなり敏夫がこいつは吸血鬼の仕業だと言いだして、静信がビビる。敏夫が病理学的にいちいち説明していって、結局死ぬメカニズムは吸血されたのが原因と言う事になった。
結局、血液の50%を失えば死にいたるので、吸血鬼は何も全身の血を吸う必要はない。そして人間は全血液量の20%を失えばショック状態に陥る。しかし、貧血期間中はそんな症状出ていないので恐らく一回の吸血量はその半分以下。その量おおよそマグカップ2杯分。それを数回繰り返していくうちに患者は貧血となり、血液不足から毛細血管への血流が悪くなり青ざめて手足の体温は低下する。そして免疫系が暴走を初め、内臓器官を破壊していって多機能不全状態へ陥る。
と、そういうことらしい。
しかし肝心の「死んでから起き上がりになるまでのメカニズム」つーのが全く不明ですね。しかも一応死んでるんだよねアレ。どうやって動いてんの?
前半は一応丁寧に過程を追って、ミステリ的に展開していくのかと思われたのにここにきていきなり超自然的な解が登場。前半理性的なだけ後半のラノベ臭さが際だつ。

夏野くん思ったよりナイーブね。てっきり知り合いだろうが誰だろうが覚悟決めたからにはぶち殺すと思ってたのに。
後結城父は籍を入れずに同棲してるって環境が子供に与える影響を考慮しきれないバカだけあって今巻でもバカちんな行動を取ってくれます。


そういやこれ「ひぐらし」に似てるって言ってた人いたけど確かにある意味ひぐらしだね。前半二巻では比較的まっとうな理性的なアプローチを取ってたのに、後半いきなり超自然的な展開に突入する辺りが特にね。

それにしても辰己嫌らしいな。こういういやらしいキャラはメガネか美形と相場が決まってるモンだが、漫画だとただの朴訥な男にしか見えんね。というかネコミミも相俟って凄いマヌケに見える。フジリュー的な「いい人」ってのはああ言う外観をしてるモンなのかね。


今回の萌えポイントは松尾静。結城家へ入りこむべく、招待をして貰うために送られた刺客です。

 玄関のドアを開けると、小学生ぐらいの女の子が立っていた。どことなく、荒んだ風情のある子だという印象を受けた。それは子供らしからぬ暗い表情のせいだったかもしれない。
「はい?」
「ここ、結城さんち?」
「そうだよ。君は?」
「しずか」とだけ、少女は言った。「お兄ちゃん、いますか」
 結城は首を傾げた。
「お兄ちゃん――夏野かい?」
 少女は頷く。

「とにかく、中で待ってるといい」
 結城が言うと、少女は何も言わずに玄関の中に滑り込んでくる。さっさと結城を置いて家の中に上がりこんだ。
「ちょっと、君」
 少女は振り返る。明かりの下で見てみても、別にどうということもない、村にはいくらでもいそうな女の子だった。
「お兄ちゃんを待ってる。お部屋に行って良いでしょ」

夏野を「お兄ちゃん」と呼ばわりですか。おいおい、なんだいそりゃこんな事で読者に媚び売ってどうするんだよ。と
ちなみにこの子、漫画版じゃ何故か園児服きてるらしい。google:image:屍鬼 松尾静
わぁ、すげぇロリコンホイホイ。でも渋じゃほとんど絵がないんだよね。どんな層がこの漫画読んでるかというのがよくわかるね。


あと正雄くん。どうもアニメのキャラデザ見た限りではキャラに合わない感じが。もうちょっと、やんちゃの融通聞かないがきんちょというイメージなんですけどね。
現に起き上がり後何の躊躇いもなく人間から直接血吸ってるし。人間殺すのにも躊躇いがない感じ。


最終的にはこれどうなるんだろうね。敏夫と静信は今だ有効な打開策を見つけては居ないし、夏野はヤバい状態。田中姉弟もヤバい。
まあ、最後には焼き討ちだろうけど。