小林泰三「人外サーカス」

変わったミステリ系かと思いきや妖怪退治系だった

人外サーカス

人外サーカス

あらすじには、人ではない吸血鬼がどういうわけか怪力でねじ切られて殺されていた。という謎が主軸のミステリーチックな作品であるかのように書かれているが……
実際に始まったのは「未来妖怪」にあったようなパワードスーツ着て吸血鬼退治する連中の話だった。
結局吸血鬼狩りの組織の連中は、対象を取り逃して、代わりに別のサーカスの連中が吸血鬼と戦う羽目になるという話。
本当に謎解きじみた解説が始まるのは最後の最後で、それまではひたすら人間VS吸血鬼のバトルバトルバトル。

面白いんだっけって言われると微妙。小林泰三はわかりやすいけど、戦闘描写に関しては妙にまどろっこしくて読みづらい。ので。

澤村伊智「恐怖小説キリカ」

念の入れようがすごい


恐怖小説キリカ (講談社文庫)

恐怖小説キリカ (講談社文庫)

三津田信三シリーズと同じく、作者を主人公とするお話。
三津田信三の怪談とは違ってサイコホラー。というか、小林泰三ふうなホラー。
映画「来る」を見たので読んでみましたが、面白い。
話自体は「いやー嘘でしょこれは」と言いたくなる話ではあるが、あとがきとか設定が念が入っていて「え?本当なの?」と思わせてくれる。
「この物語はフィクションであり、実在の人物団体とは関係ありません」
という注意書きにホッとさせられる話。

「探偵が早すぎる」上

割とまともな清涼院流水という感じ。

探偵が早すぎる (上) (講談社タイガ)

探偵が早すぎる (上) (講談社タイガ)

講談社タイガとかいう講談社の文庫の新しいレーベルらしい。てっきりライトノベル系統のものかと思ってたら、ライトノベルライトノベル講談社ラノベ文庫とか言うのがあるらしい。どういうコッチャ。
体感的にはラノベというより、昔流行った(らしい)ノベルズの文庫版みたいな感じなんだろうか。

話はもっとラノベ的な低レベルな話かと思ってたけど、以外はまともだし、話もテンポよく進んでいて面白い。
文章もラノベと違ってちゃんとしてる印象あるんで、ラノベではない感じ。
ただまぁ、設定がある意味清涼院流水というより、麻耶雄嵩的な「非現実的設定」を前提とした感じではあるので、正当とは言い難いような感じ。
早すぎるどころか、出てこないうちから解決してるってのがなんとも斬新ではあったかな。

ブライアンラムレイ「黒の召喚者」その1

デモンベインの原点ってむしろこっち感



朝松健の後書きで有名なアレ
まあ、言われてみればそうかもなとは思うけどこうまで有名になってしまっては。書いた本人もアカンと思ったのか後に出たラムレイ短編集では釈明じみたことを書いている。


自動車嫌い

自動車事故で妻と息子を無くした男が、車の来ない山の中で生活しながら、森に許可無く侵入してきたドライバーを車で挽いていた。という話なのだろうか……。
迷い込んできた車とその持ち主を挽き肉にしてるという点は明らかだが
車の雑誌とか麻薬入りのビールは?途中の沼に沈んでた車は?
人間を挽いて使い物にならなくなった使用済みの車を沼に沈めているのだろうか?
ビールは来客眠らせて挽きやすくするため?
じゃあ車の雑誌は何なんだろう。雑誌に載ってる車買って自分で沼に沈めて胆だろうか?
落ちはゴシックなホラーというより確かにパルプマガジンのホラーじみてる

「アリス殺し」文庫版 その1

売れたのか売れてないのか

アリス殺し (創元推理文庫)

アリス殺し (創元推理文庫)

えらい文庫化に時間かかりましたね。
2007年くらいだっけ、ハードカバー版出たの。もう10年くらい経ってるのでは。
こんなに時間かかったのは、文庫化するほど売れてはいなかったからなんでしょうね。あるいは売れすぎたので文庫化するのがもったいないと思ったのか。

「クララ殺し」その1

とりあえず、なんでわざわざ金髪に染めてカラコンでコスプレしてたのかが謎

読みはしたんだけどレビュー書いてなかったようだったんで。
なんかとにかく複雑怪奇なトリックだった気がする。
やり方としては、前回の入れ替わりを2人にしたパターンで、単に1人が2人になっただけなのに複雑さは4倍ぐらいになってる印象。
終わりの方にある、ホフマン作品解題が微妙に読みづらいなと感じてましたね。
参考になった作品のストーリーを紹介してるんだけどなんか……やはり無理して詩的表現しようとしてるせいか誰かの文体真似てるのか読みにくいなと思った。砂男あたりが

「C市からの呼び声」その1

C市+前日譚

C市からの呼び声 (クトゥルー・ミュトス・ファイルズ)

C市からの呼び声 (クトゥルー・ミュトス・ファイルズ)

小林泰三クトゥルフ神話の中だと割とキャッチーでわかりやすい「C市」とその前日譚として書かれた「C市に続く道」が収録された本。

C市に続く道

C市の前の話で、C対策研究所を立てる前の土地調査の段階の様子が描かれる。
研究所のある場所がまんまインスマスなのはC市でも書かれていたが、今回それに加えてウェイトリーやルルイエまで出てくる。日本じゃなかったっけここ。
本家ラヴクラフトクトゥルフ神話的舞台を日本にするという点考えても「肉食屋敷」臭い感じがする……。あれは「闇に囁くもの」の換骨奪胎だったから。
まあ、クトゥルフ神話の舞台となった地域の様相を日本にそのまま持ってくるってパターンは前例がないわけではないが……
というより日本のクトゥルフ神話は基本クトゥルフ神話の舞台になってたアメリカの地域を日本に持ってくるあたりから始まるからなぁ。