W.H.ホジスン「幽霊海賊」

幽霊海賊 (ナイトランド叢書)

幽霊海賊 (ナイトランド叢書)


やっと読み終えた…随分時間かかった気がする…
内容的には幽霊海賊にとりつかれた船がなんやかんやあって沈んでしまう話。
といっても、幽霊船と邂逅するまでかなり時間かかるし、出てきてからはほぼ一瞬でけりがついて沈められてしまうという事態に。
それまでは幽霊船の乗組員(幽霊)が主人公の乗ってる船に姿見せて(といってもぼんやりとしか見えないわけだが)、畳んだ帆をほどいたり、マストに登った人間の乗組員を落としたりといった嫌がらせじみたことをするだけ。
確かに雰囲気はいいんだけど、ちょっと幽霊海賊自体がそんなに出番ないというか。ひたすら嫌がらせしてただけのような…
マストに上って殺されそうになった船員助けたり帆に角灯取り付けたりするのだが、ここら辺のマストやマストに取り付けられた足場、縄の名前やら帆桁の場所の説明がよく分からなくてなんとも。後ろのページに解説は付いているが大して役に立たない。せめて図説載っけるべきだったな。
仕方ないので訳のわからんところは検索して分かりやすい解説してるとこを探す羽目になった
http://www53.atwiki.jp/alonsodeleyva/pages/56.html


まあ、内容はそう悪くないんだけどね。異次元を覗く家とかナイトランドに比べたら。ちゃんとホラーしてるしね

「安楽探偵」その1

小林泰三なのに殊能っぽい。と言えなくもない

安楽探偵 (光文社文庫)

安楽探偵 (光文社文庫)


小林泰三と言えば超限探偵Σに代表される飛んでも系の安直落ちか、密室・殺人からの派生の複雑怪奇な推理を行うパターンの両極端な感じの推理小説しかない感じだったのが、
今回ようやく両者をうまいこと組み合わせた短編集が出た感じ。
いわゆる「密室・殺人」の四里川とその助手風な探偵と助手のコンビの出てくる話。多分四里川ではないな。一応実体はあるみたいだし。もしかしたら生前の話なのかもしれないけど。

アイドルストーカー

簡単にいうとperfect blue
探偵事務所に自分をアイドルの富士唯香だと名乗る依頼人が訪れた。
ストーカーからの手紙に悩まされているという依頼人。最初は自分の格好を真似たストーカーの写真が送られてくるだけだったが、段々とその送られてくるまでの間隔が狭まり、遂には雑誌に載せたりしていない自分の部屋着と同じ格好の写真まで送られてくるようになった。そしてついにコンビニに出かけて戻ってきたときに同じ格好のストーカーと対面する羽目になったそうな。一連の話を終えた依頼人は風呂場のマジックミラーに写っていたという男の写真を見せると言って、手鏡を取り出した。「ほら、ここに写っているこの男ですよ」

依頼人自身がそのストーカーという小林泰三によくあるパターン……
と思ったら……
わざわざ依頼人の性別ぼかした書き方したり、助手が依頼人を不自然に思う描写入れたりと、この手のパターン知ってる人こそ騙される系のヤツですかね。
最初「またこのパターン?」と小林泰三によくあるタイプのアレかと思っていたので見事にやられた。でも最後の書き下ろし読んだら流石にそれも嘘かなと思えてくる。
うん。落ち的にも叙述トリック的にもperfect blueだな。

消去法

他人を消し去ることができる能力を持っているという依頼人。最近同じ能力を持った人間が現れたという。

これはどう思わせたがってたのか謎っぽい。 「予め決定された明日」的な妄想落ち?
実際やるとしたらかなり大がかりだなこれ……

「時の娘」その1

大丈夫!中村融/編の海外作家アンソロジーだよ

時の娘 ロマンティック時間SF傑作選 (創元SF文庫)

時の娘 ロマンティック時間SF傑作選 (創元SF文庫)

ちょっとばかし話題になっていたので念のためどんな話か読んでみようと思ったところ。まあ、読まずに提案したのはどうかと思うが。

チャリティのことづて

むかしむかし、アメリカの農村に住んでいたチャリティは脳炎にかかったことによって、未来のアメリカ人男性と視界を共有できるようになったそうな。ところがそれを村に吹聴して回ったものだから、好色な治安判事の目に留まり魔女裁判を受けるはめになったそうな。
めでたしめでたし。

まあ助かるんだが。
感想はへー。ってだけで好きな人には良いのかもしれんね

「どんがらがん」その2

さもなくば海は牡蠣でいっぱいに

なんか、「あるいは牡蠣でいっぱいの海」のタイトルの方が良かったとか言われてるヤツ。まあ確かにそうかもしれないけど内容的にはこっちの方が良いのでは?と言うか、どっちにしろ内容を表しているとは言いがたいタイトルよね。

あるいは裏切りという名の犬 [DVD]

あるいは裏切りという名の犬 [DVD]


内容は異星人が無機物の形で地球上に存在しているって話。割りとありがちじゃないですかね。
オスカーとファードは共同で自転車屋を経営していた。ある時ファードのお気に入りのフランス製自転車を勝手にオスカーが使用して傷物にしてしまった。切れたファードは自転車をめちゃくちゃに切り裂いて店の裏に放置しておいたが、数日して見ると自転車は原状回復していた。
ファードはクリップはすぐなくなるのにハンガーは溜まる一方であることからとある仮説を立てていた。この地球上にはものに擬態する生命体がいて、幼虫時にはクリップの形をしていて、成虫になるとハンガーの形になる。これを元に、このフランス自転車もまたインベーダーの擬態であるとの持論を展開する。バカなことをとオスカーは笑うが、フランス自転車に乗せられて怪我をしたファードは怯えて家に引きこもった。
3か月後、店を訪れてあのフランス自転車はどうなったと訪ねる客に、オスカーは「種馬にしてやりましたわ」と笑って答えた。
一方ファードは家の洋服ダンスでハンガーに首を絞められているのを発見された。

「俺が公園で精出してるあいだ、お前もちゃんとこの店で精出してくれたんだろうな」
って汚い発言だなぁ……
もしかしてオスカーも人間に擬態した異生体だったって落ちなのかね


どんがらがん (河出文庫)

どんがらがん (河出文庫)

「エイルマー・ヴァンスの心霊事件簿」その1

エイルマー・ヴァンスの心霊事件簿 (ナイトランド叢書)

エイルマー・ヴァンスの心霊事件簿 (ナイトランド叢書)

これは失敗したな。最初の数行読んで良さげに思えたのだが、読んでみると伝統的なスピリチュアルな内容でがっかりしてしまった。
導入部はなんか凄い良いんだけどね。カーナッキのようにはいかない

侵入者

降霊術を行ったら霊媒にした妻が乗っ取られたので殺した話。
本当、イギリス人は降霊術好きね。よくこんな胡散臭いモンによく手を出すなと。
それにしてもそんなに何回も憑依させる必要あったんかね?
ヴァンス初登場で、語り部とヴァンスの出会いが描かれる。この話はヴァンスが過去に体験した話を語り部に語るという形で進む。以降の話も同様。
とある宿で一緒になったヴァンスの昔話という体で話は始まる。美しい妻をもつヴァンスの友人がいた。ところがこの友人が庭で古代の腕輪を発見したことから妻を霊媒とした憑依実験を始める。段々と憑依されている時間が長くなっていき、霊を引き剥がすように苦労するようになった妻。やめてくれと夫に訴えるがその言葉は夫には届いていなかった。

見知らぬ誰か

出た!パンの大神!
英国産怪奇小説で毎回出てくるね。あんまりこの竿役神に対する馴染みがないから、そう何回も出てこられても困るのだが。
してみるとカーナッキの良い所ってのはあんまりイギリスの土着に沿った怪異を出さなかったことにあるのかな。

緑の袖

ヴァンスが恋した幽霊の話。
あの古臭い服装にも流行り廃りがあるんですかね?
ヴァンスって実は霊能力皆無ってネタバレをどっかで見たのだが、これ見る限りだと「緑の袖の君」見えてるよね?

アヴラム・デイヴィッドスン「どんがらがん」その1

前に読んだはずなのだが記録つけ忘れてたらしい

どんがらがん (河出文庫)

どんがらがん (河出文庫)

三匹のヤギとは当然なんの関係もない。

ゴーレム

なにこの……何?
アパートの管理人の老夫婦が玄関にいると、灰色のゴーレムみたいな歩き方をする男がやって来てポーチの椅子に座った。
男は自分がゴーレムだと主張するが相手にされず、結局老人に殴られて壊れてしまう。老人は昔のやり方に従い、エメスの文字を額に書くが、結局よみがえらなかったので中のバネを修理して庭の草むしりをさせた。

変な話ですね。

物は証言できない

黒人差別の裏表みたいな感じなんすかね。表面上は黒人差別なんていけないことですよと言っておきながら裏じゃ差別意識持ってるって言う。今のアメリカにありがちな問題を抉り出したいんですかね。今は法的には人間とされている黒人だが独立戦争後のアメリカでは黒人奴隷は法的には物であり所有物であったという話。
結局ジェームズ・ベイリススケープゴートにして、差別撤廃を声高に宣言すれば良いという話ではなくてもっと根の深い問題ですよねアメリカ国民自体が考えなければならない。
まあ、結局なんだかんだ言って昔っからSFでもネタにされてたくせに一行になくならないのは要するに、あの手の主張は所詮表面上だけの事だったんだなぁと。イギリス紳士みたいに

さあ、みんなで眠ろう

護送囚人の性処理に使われていた未開惑星の原始人たちを種の保存のために助けようとしたら結局薬剤実験に使われただけに終わったという話。結局主人公は放電灯を割って連れてきた原住民と共に自殺。
悲しいなぁ……。
まあ、でもそんなに人間そっくりていうか、なんかの病気の実験に使えるぐらい遺伝子プール似てるんなら、雌を他に連れてったり密輸したりしてるヤツいるんじゃないすかね……。愛玩用途とか。見た目人間そっくりならスナッフムービー系とかにも需要ありそうじゃん?そこら辺から探せなかったのかな……どちらにしろどの船がいつ着陸したかとか探さなきゃならないからムリかな。ていうか、どちらにしろ巣穴から出した段階で雌が老婆しかいないんならどうしようもない気が。
使ってる連中も、ここのヤフーがいなくなったりしたら困るだろうに、なんも考えずに乱獲してる辺りほんとゲスな白人の歴史を見ている気分だね。
昔のSFだったら問題にもなってなかった問題だぁね。
あとこの原住民、ヤフーとか呼ばれてるからてっきり退化した人間とかいう落ちがつくかなと思ったら別にそんなことはなく、普通にガリバー旅行記の馬の国のアレから名前取って付けられたそうな。
そういや、初回読んだとき、なんで放電灯割ったん?思ってたけど、少し前に放電灯割られてそこから漏れた有毒ガスでヤフーの雄が死んでましたね

読んで思ったが、やっぱ読んだことあるなこの本。「クイーンエステル、おうちはどこさ」「尾をつながれた王族」「そして赤い薔薇一輪を忘れずに」はストーリーなんとなく覚えている。それぞれお手伝いの魔女、異星人の話、サイコホラーだったような。
肝心のどんがらがんは未読。


三びきのやぎのがらがらどん (世界傑作絵本シリーズ)

三びきのやぎのがらがらどん (世界傑作絵本シリーズ)

読みたい本がどんどん出てくる

昔はこんなことでエントリ数稼いでるの見て「アホか。本なんてAmazonのページブックマークしときゃ良いだろ」とか思ってたんですが最近年なのか仕事が忙しいせいか他のことで余裕無くなってきたのか、とにかくこうやって一ヶ所にまとめてないと忘れることが多い

ナイトランド叢書

エイルマー・ヴァンスの心霊事件簿 (ナイトランド叢書)

エイルマー・ヴァンスの心霊事件簿 (ナイトランド叢書)

異次元を覗く家 (ナイトランド叢書)

異次元を覗く家 (ナイトランド叢書)

〈グレン・キャリグ号〉のボート (ナイトランド叢書)

〈グレン・キャリグ号〉のボート (ナイトランド叢書)

幽霊海賊 (ナイトランド叢書)

幽霊海賊 (ナイトランド叢書)

訳者に何故か夏来健次の名前が‥‥‥

野村芳夫ってなんかどっかで聞いたような気がしたんですが、検索したら案の定出ました。
国書刊行会版「幽霊狩人カーナッキ」の翻訳してる人。幸い、酷い翻訳出してた人じゃないので、まあ今回は大丈夫かなぁ
それにしてもソフトカバーでこの値段は高くない?

北原尚彦

ホームズ連盟の事件簿

ホームズ連盟の事件簿

ホームズ連盟の冒険

ホームズ連盟の冒険

最近シャーロックのお陰でホームズ系がやたら売れ出したんですかね。まさかの北原尚彦。

小林泰三

クララ殺し (創元クライム・クラブ)

クララ殺し (創元クライム・クラブ)

失われた過去と未来の犯罪

失われた過去と未来の犯罪

なんか急に出た。読み終わるのにそんなに時間かかりそうにないので後で良いかな。表紙は良いんだよなぁ

殊能将之

殊能将之 未発表短篇集

殊能将之 未発表短篇集

フレドリック・ブラウン

ディープエンド (論創海外ミステリ)

ディープエンド (論創海外ミステリ)



殊能に北原にホジスン……とても買いきれないゾ。
まあ、こんなに読みたい本が出ることは滅多にないことだからねぇ。どうしたものか。肝心のナイトランド叢書が図書館にないのは参るね。最近の図書館はとにかくケチ臭くなってリクエストしても、とにかく検討中。
TSUTAYA図書館の影響でも受けてとにかく経費削減しようって方向なのかね。数年経ったら在庫だだ余りになるのが分かりきってるベストセラー本は大量に入荷するくせにね。
「アリス殺し」なんていまだに予約が7件もあんのに追加購入なしとかさぁ。