「未来妖怪」その4

未来妖怪―異形コレクション (光文社文庫)

未来妖怪―異形コレクション (光文社文庫)

渡邊浩弐「ブログアイドル♡ちょこたん♡の秘密」

ほんとタイトルで読むの辞めようかと思いましたよ。
酷すぎっつーか。中川翔子のパクリかよって。
まあ、これまでに「未来妖怪」として想像したものが一行に出てこないので藁にも縋る思いで読んでは見たけど駄目でしたねやっぱり。

この作者にしちゃまともサスペンスにっぽい感じですね。

梶尾真治「溶岩洞を伝って」

梶尾真治って聞いたことある名前だなーと思って調べたら、なんと「ドグマ・マ=グロ」の作者でした。
他にも「小壺ちゃん」「葛城淳一の亡霊」「おもかげレガシー」などを異形コレクションで書いている。
まあ、小壺ちゃんはいいとして「葛城淳一の亡霊」「おもかげレガシー」は酷いですよね。ほんとに
「葛城淳一の亡霊」は似非科学的な話でSF作家が書くものとは思えないし
「おもかげレガシー」なんてのはまたよくわからない思想に基づいて描かれる電波人間の話ですし。
いやーほんとに下らないものしか書いてないですね。ほんとにSF作家かこの男。
んで今回はどうか?まあ、普通のSFかな。トンチキなとこがない分マシと言える。
まあ、田中啓文とかの「とりあえず不可視のものは存在するものとして話をすすめる」というもので特にこれといったすごいアイデアがあるわけでもない気がした。

西秋生「時の獄」

スルーしてた

井上雅彦「青猩猩探訪」

まあ、最後にちょっと面白い仕掛けがあったけどそれまでがだらだらとしてて酷いですね。
なんか文章がさ……。
こう言う気取ったような文章使って良いのは中二までだと思うが。
うーん。いや、よくこれでファンが居るなとちょっとビックリする。まともに文章書ける人じゃないっぽいからアイデアとかその他の方面での人気なのかね。


そういや、伯爵が未来からやってきてホラーアンソロジーを作るとかそういう話なかったね今回。
「帰還」みたいにさ。あの人が参加してないからかね。

朝松健「ぬっへっほふ」

足利将軍の歴史のお勉強になりました。
過去の時点からの未来を指して「未来妖怪」というのはさすがですね。
こう言う、言葉の定義を拡大解釈している作品こそ「異形」らしい

間瀬純子「ミライゾーン」

うん、これが一番表題に近い感じですね。
銀色の嘴、銀色の羽、銀色の全身。まさに未来的な格好をした異形のヒーロー。



総論

まぁ、何というか……メインテーマに対してこれかよ……みたいなひねりのない作品が多いですね。
結局、妖怪なんて人間の認識によって生まれた存在なんだから、そこんとこ突き詰めていかないとね。
例えば人間がどんどん電脳化していって、意識がどんどん拡張されていくと、どういうわけか不思議な現象が起こるようになる。
そしてその現象を妖怪と呼ぶようになる。とかね。
新しいテクノロジーによって生まれるものこそが「未来妖怪」の名にふさわしいものなのではないかと思うんですけどね。
単に日用品や舞台やガジェットが未来なだけじゃ未来妖怪ではないと思うんですがね。


面白かったのは、草上仁「缶の中の神」、三津田信三「合わせ鏡の地獄」、タタツシンイチ「彼等」