「ストーカー」がリアル書店に売ってなくて、仕方なくこちらから
- 作者: アルカージイストルガツキイ,ボリスストルガツキイ,深見弾
- 出版社/メーカー: 群像社
- 発売日: 1989/07
- メディア: 単行本
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良くこんな物が受けたものだ
というのが第一印象。
なにせジャンルがSFである。あの現実を一切見ることのない、常に虚構のみに彩られているジャンルにこんな生々しい戦地の描写など盛り込んで大丈夫なのだろうか?と言うより、輝かしい未来像しか提示せず、そうやって清潔で、人間の性善説を信じて、より理性が高次の段階になれば争いはなくなり、人々は穏やかな生活を送れるなどと無邪気に信じ込んでいる話を好む連中にこの話が受けるのだろうか?
ちなみに自分的に受けた印象はこの作者海外FPS系のゲーム好きそうだなぁと言うこと。若干未来的な軍事アイテムと、相変わらず人間が戦争に従事していると言うシチュエーションとか。
要するにSF的要素というのはこの手のゲーム要素を現実的に成立させるために存在していると言っても過言ではない気がする。
とは言っても思いつくゲームはSTALKERかBattleFieldぐらいだが。
まあ、ネット上の発言で一番声がデカイものと言えばゲーマー連中のものだから、そういう連中の支持を得られれば、上位層の支持がなくても売れるのかもね。「オーバーロード」的な。
まあ、内容はとにかくグロい。最初から死体のオンパレードである。
小林泰三とか田中みたいなB級なグロテスクさと違ってそこには残酷さがある。
痛快なのは、大国対大国あるいは帝国VS共和国みたいな古臭いSF的な世界観ではなく、現実世界と地続きになっていそうなテロVS国家と言う世界観を持ち出しているところですかねぇ。まあみんなもいい加減飽きてきてたんだろうね。だから受け入れられた感はある。とは言え、3.11が起こったから今度はそっちがトレンドになってる印象もあるが。とは言え現実のアメリカを見ているとまさにこの小説のようなアメリカ至上主義の路線を進んでいるように見えてゾッとしてしまうこともある。
某子供向けホラーよりは面白い
表紙でどっかで見たような雰囲気出してたので手に取ったけど、名前には全然ピンと来るところがない。
道路で拾ったずぶ濡れの女の子を家まで送っていった後、シートに靴が置きっぱなしになっているのに気づいた主人公は、その家まで靴を返しに行くが、その家の住人はその女の子は既に何年も前に死んでいるという。信じない主人公はその子が埋葬されているという墓地まで出かけてゆくと、それまでも同じようにここを訪れた人たちが残していった靴がいくつも放置されていた。
そしてそこで死んだ子どもたちが自分の死んだ経緯を語り始める。
聞き手の話。16歳のマイクは夜の12時過ぎに車を飛ばしていたところ、びしょ濡れの女の子に遭遇。その子キャロルアンに家へ送ってと言われて家の敷地前まで送ってゆくが…
最初の語り。
自分の空想話を方々に語っては嘘つき呼ばわりされる女の子ジーナ。ある時転校生のアントニーがやってきたことから、おかしな事になる
あ、そこで終わり?的な。結局アントニー何がしたかったの?奴さんなんで生きてんの?
これも結局ある意味自業自得な気もする
女教師の机に蜘蛛を入れて殺しかけたことから退学になったジョニー。最初はスリ。その次は葬儀屋の礼拝堂に安置してある死体から貴重品を盗む生活をしていたが、ある時かつて自分の女教師の死体と出会う。かつて教壇でみかけた金の三日月に赤い石の付いたブローチを盗もうとするが…
棺桶の中からボーラムが唱えていたのは、よみがえりの呪文と死を他人に移す呪文だったらしい。でも死んでんのになんで唱えられたんだろう。て言うか、生きてたら生きてたで、死を移す事はできないのでは
廃墟の写真を撮りにシカゴ州立精神病院へ行ったスコット。最初は幽霊なぞ信じずに写真を撮りまくっていたが…‥
シカゴ州立精神病院!恐ろしいな……
これの良いところは明らかに怪異の兆候が出てる場所にいつまでも留まったりせずに逃げ出すところですかね。その手の去勢はるアホにはウンザリしてるからな。
きのこ好きかい?
FUNGI-菌類小説選集 第Iコロニー(ele-king books)
海外で編纂されたアンソロジーの翻訳。つまり、タイトルの「Fungi」は原題そのままということに。
本屋で見かけて、早川ポケミスもなかなかセンスの良い表紙出すようになったなと思ったら別の出版社だった。
ポケミスみたいな新書サイズに謎の透明カバーがついてると思えば良い。完全に真っ黒な表紙には興味湧かないが、こういうタイプの表紙なら大歓迎。
水虫みたいな菌で体そのものがきのこにされてしまう話
とにかく水虫に感染した足の描写が気持ち悪い……。話の落ちは何となく想像できる
菌類と人間の謎のクロニクル。
キノコがキノコで潜水艦作って海に潜ったらエンジン壊れて海底に閉じ込められた話。
閉じ込められて内壁食ってしまうあたり「どすこい」っぽい感じがする。
表紙の何かは恐らくこれに出てくる潜水艇
タイトルはラパチーニの娘的なあれ?
まんまラヴクラフトとか言われてて興味湧いた一品。
確かにそれっぽくはあるが、ラヴクラフトよりはマシなんじゃないかな。
書き方も無くはないし。ドラキュラとか
アムンゼンは実在した探検家で南極点到達を成した1人。しかし、この手記の作者はアムンゼンの到達から1年も経って南極点到達を行おうとしてるのに「南極は我々のものだ――アムンゼンあるいはスコットか、あるいは両者に先んじられていなければであるが」なんて文章が出てくるのだろう。
サザランド探検隊ってなんですかね?実在したのかと思ったらこっちは存在しないみたいだが。
オーガスト・ダーレス!こんなとこで名を見るとは思わなかったな。
日本のクトゥルー神話愛好家から蛇蝎の如く嫌われているせいか、ホラー作家って印象は薄いが、こういうトコにとられるってことはそれなりなのかな。この作者のクトゥルー神話自体はそう悪くはないが(主に文章面で)、怖いかと言われるとそうでもない気もする。
内容は、子供の頃暗がりで空想した怪物が現代に蘇って子供を殺したという、スティーブン・キングの「イット」みたいな話。
無料大好きだからって無銭飲食とか万引きはイカンでしょ……。
しかしなんで収穫した穀物を全部いっぺんに食うかね……。オマケにその状態でどうでもいい植物取りに行くとか……
妻から腐敗臭がするようになった話。
結局正体何だったの?グール?ゾンビ?
タイトルと中身の関係無さが凄い
例の北朝鮮引き起こした実験のせいで世界中で大忘却が起こり、メモリーカードで生活する事になった世界の話。
例の短編を取り込んで長編化でもしてるのかと思ってたら、独立した作品らしい。
関連性無い訳ではなく第一部辺りは明らかに短編の「大忘却」の起こった当時の話。
第二部はショートショート連作集で、短編と同じく、人々がメモリーカードで生活するようになった世界で起こる珍妙怪奇…でもないどっかで聞いたことのある話。いわゆるマンガ的なシチュエーションをSF的に表現する類の?
話は第一部、第二部に分かれてはいるが、実際は第一部が短編。第二部が区切りのないショートショートといったかんじ。終わり方は…「delivery」並の、いきなりそこ行くの?言いたくなるような終わり方。ていうかまあ、シチュエーション的には藤子・F・不二雄の「どことなく、なんとなく」で良いんでしょうかね。