「探偵が早すぎる」上

割とまともな清涼院流水という感じ。

探偵が早すぎる (上) (講談社タイガ)

探偵が早すぎる (上) (講談社タイガ)

講談社タイガとかいう講談社の文庫の新しいレーベルらしい。てっきりライトノベル系統のものかと思ってたら、ライトノベルライトノベル講談社ラノベ文庫とか言うのがあるらしい。どういうコッチャ。
体感的にはラノベというより、昔流行った(らしい)ノベルズの文庫版みたいな感じなんだろうか。

話はもっとラノベ的な低レベルな話かと思ってたけど、以外はまともだし、話もテンポよく進んでいて面白い。
文章もラノベと違ってちゃんとしてる印象あるんで、ラノベではない感じ。
ただまぁ、設定がある意味清涼院流水というより、麻耶雄嵩的な「非現実的設定」を前提とした感じではあるので、正当とは言い難いような感じ。
早すぎるどころか、出てこないうちから解決してるってのがなんとも斬新ではあったかな。

ブライアンラムレイ「黒の召喚者」その1

デモンベインの原点ってむしろこっち感



朝松健の後書きで有名なアレ
まあ、言われてみればそうかもなとは思うけどこうまで有名になってしまっては。書いた本人もアカンと思ったのか後に出たラムレイ短編集では釈明じみたことを書いている。


自動車嫌い

自動車事故で妻と息子を無くした男が、車の来ない山の中で生活しながら、森に許可無く侵入してきたドライバーを車で挽いていた。という話なのだろうか……。
迷い込んできた車とその持ち主を挽き肉にしてるという点は明らかだが
車の雑誌とか麻薬入りのビールは?途中の沼に沈んでた車は?
人間を挽いて使い物にならなくなった使用済みの車を沼に沈めているのだろうか?
ビールは来客眠らせて挽きやすくするため?
じゃあ車の雑誌は何なんだろう。雑誌に載ってる車買って自分で沼に沈めて胆だろうか?
落ちはゴシックなホラーというより確かにパルプマガジンのホラーじみてる

「アリス殺し」文庫版 その1

売れたのか売れてないのか

アリス殺し (創元推理文庫)

アリス殺し (創元推理文庫)

えらい文庫化に時間かかりましたね。
2007年くらいだっけ、ハードカバー版出たの。もう10年くらい経ってるのでは。
こんなに時間かかったのは、文庫化するほど売れてはいなかったからなんでしょうね。あるいは売れすぎたので文庫化するのがもったいないと思ったのか。

「クララ殺し」その1

とりあえず、なんでわざわざ金髪に染めてカラコンでコスプレしてたのかが謎

読みはしたんだけどレビュー書いてなかったようだったんで。
なんかとにかく複雑怪奇なトリックだった気がする。
やり方としては、前回の入れ替わりを2人にしたパターンで、単に1人が2人になっただけなのに複雑さは4倍ぐらいになってる印象。
終わりの方にある、ホフマン作品解題が微妙に読みづらいなと感じてましたね。
参考になった作品のストーリーを紹介してるんだけどなんか……やはり無理して詩的表現しようとしてるせいか誰かの文体真似てるのか読みにくいなと思った。砂男あたりが

「C市からの呼び声」その1

C市+前日譚

C市からの呼び声 (クトゥルー・ミュトス・ファイルズ)

C市からの呼び声 (クトゥルー・ミュトス・ファイルズ)

小林泰三クトゥルフ神話の中だと割とキャッチーでわかりやすい「C市」とその前日譚として書かれた「C市に続く道」が収録された本。

C市に続く道

C市の前の話で、C対策研究所を立てる前の土地調査の段階の様子が描かれる。
研究所のある場所がまんまインスマスなのはC市でも書かれていたが、今回それに加えてウェイトリーやルルイエまで出てくる。日本じゃなかったっけここ。
本家ラヴクラフトクトゥルフ神話的舞台を日本にするという点考えても「肉食屋敷」臭い感じがする……。あれは「闇に囁くもの」の換骨奪胎だったから。
まあ、クトゥルフ神話の舞台となった地域の様相を日本にそのまま持ってくるってパターンは前例がないわけではないが……
というより日本のクトゥルフ神話は基本クトゥルフ神話の舞台になってたアメリカの地域を日本に持ってくるあたりから始まるからなぁ。

小林泰三「ドロシィ殺し」

やっぱり読みやすいですね小林泰三

今回は「オズの魔法使い」を元にしたストーリー

オズのまほうつかい (10歳までに読みたい世界名作)

オズのまほうつかい (10歳までに読みたい世界名作)

読んだことないのでよくは知らないが、まあ、桃太郎みたいな話やろ……と思って読んでましたね。そういえば元ネタ知らずに読むの初めてだな。

今回描き下ろしで書いてるせいか前回のような雑誌連載ゆえの複雑怪奇な理解に時間のかかるトリックは使われていない。
とはいえ、開始数ページで大体「あ、今回はアヴァターの入れ替えはなさそうだな…」となんとなく感じるので割と困惑することでしょうな。
アリス殺しがファミコンとしてクララ殺しがファミコン2としたら、今回のはスーパーファミコンのような感じですね

話はわかりやすかったので良かったですね。ああ、そういうことになるのか……とありなのか感あるけど世界的にありだろうな。と思う
ポイントはいよいよ「玩具修理者」に登場するあの姉弟がこのシリーズにも出演するってところですかね。いよいよ最高傑作の登場人物を出してきたか…

HPL「這い寄る混沌」その1

シャイニングトラペゾヘドロンを「輝く偏方二十四面体」とちゃんと日本語訳してるの初めて見た

星海社というFateライトノベル専門の出版社の本。
なので、当然表紙も関連あるイラストレーターになってる。「FateZero」の虚淵玄の所属するエロゲー会社のイラストレータ中央東口鬼哭街の頃と随分変わったな……。
客層はFateZero関連?ちょい前の萌え系クトゥルー神話の読者ターゲットにするにしては硬派だしなぁ。そもそもレッドドラゴンみたいなTRPGリプレイ本出してたからそれ関連で出す構想はあったのかも知れない。
表紙はかなり胡散臭い感じだが、人間体ナイアルラトホテプの姿としては極々順当な見た目をしている(自分の想定してたナイアルラトホテプに近い)。何故か人間体を描かれることのないナイアルラトホテプの貴重な人間体イラスト(何故人間体の姿があんまり描かれることがないのかは謎です)。ではあるがこの胡散臭さは本自体のチープ感を増幅させるぐらい胡散臭い。まあ本の装丁自体も竹書房か光文社あたりが流行に乗って出した程度の浅い本という感じではある……。なんか流行に乗ってムック出しました的な。いや、どっちかというと新紀元社的な胡散臭さかな。
逆にへんちくりんなイメージのナイアルラトホテプてどんなん?
PHP研究所あたりの漫画かな

ニャルラトホテプ (クラッシックCOMIC Cコミ)

ニャルラトホテプ (クラッシックCOMIC Cコミ)

こっちではファラオのような...云々を真に受けたのかツタンカーメンの仮面の様なもの頭に乗っけてましたね...もうね、アホかとバカかと。まあ、PHP研究所は「新訳狂気の山脈」とか出してますけど、あれも大概だったな。HPLの小説は大抵誰が訳しても同じように分かりづらくなるとは言え、新訳であのクオリティはないなと思ったよ。

ま、前述の通り誰が訳しても一緒、超訳でもせんかぎり読みやすい文章にはならんだろうと思っていたけど

今回のこれはなぜか代筆作品やら添削作品まで乗っけて、更に元作品まで乗っけているというので買ってしまいました。
こういうのは中々無い......無いこともないけどね。国書刊行会辺りの出してたラヴクラフト全集辺りにはあった気も。ただし絶版。
東京創元社ラヴクラフト全集別巻にはある。
本自体もなんか軽いし読みやすい。



ナイアルラトホテプ

まあ......夢の中の話だからなにがなんだかわからんのは想定内。
割りと分かりやすい訳だとは思うけど、漫画先に読んでたからそう感じるだけかもしれんしなんとも。

這い寄る混沌

ナイアルラトホテプの有名なあだ名「這い寄る混沌」と同じタイトル。そのわりにこの作品にはナイアルラトホテプのなの字も出てこない


そういえばカダスは収録されていないらしい。