萩原朔太郎「猫町」その2

読了

猫町 (立東舎 乙女の本棚)

猫町 (立東舎 乙女の本棚)

感想的には前と同じかなぁ。
文章的に絵にしづらい部分が多いからか象徴的なのがおおい。まあ、そこが「ああそう来るのか」という感じで面白くはある

結局、感覚認識の問題であって取り立てて不思議な話でもないなぁとも。
マそれよりそれを文章化できていると言う事が非常に重要な事なのでしょうナ

ところで最果タヒて誰?

黒岩涙香「人耶鬼耶」その1

なぜか売っていた

桃源社かなんかの、妙に文字のでかい古い本で一度だけ読んでそれっきりでしたので。
原作からの翻訳である「ルルージュ事件」は一応読了済み。
ルルージュ事件

ルルージュ事件

妙に事件と関係ないところが妙に長かった気がします・・・・・

一度裁判で有罪となっても、冤罪である可能性があるから安易な死刑は控えるべきとか書いてあるが……
そもそもそういうのはノンフィクションとかでやるから効果的なのであって
完全フィクションのこれでやってもあんまり意味ないんじゃないかなぁ……
編集者とかが出したかっただけなんだろうか……
ちなみに青空文庫にはこの「人耶鬼耶」は載ってないんですよね……入力中ですらない。

このブログの方針

最近なんとなく方針ブレてない?って気がしてきたので書き出してみます。まあ、本来の方針に鑑みれば、こんな文章書くこと自体が方針から外れているんだけど……

方針とは何ぞ?

端的に言うと不愉快でない読書感想文を書くブログ
では不愉快でないものとは?

  • はてな記法のISBN情報だけでなく感想やあらすじのようなものも入れる(購入リストにはしない)
  • アニメ調表紙を否定しない
  • 個人的な事情や関連エピソードは書かない
  • 抽象的すぎる感想は書かない
  • べた褒めはしない


最低限この条件を満たしていれば方針には合っている。
ということで、アレですね。「乙女の本棚」シリーズに言及するのは方針的にはブレても居ないし、むしろ推奨されるところであることが分かりましたので、これにて終わりとします。
ああ、Amazonへのアフィリエイトのリンクからわかる以外の情報として、最低限あらすじを書くという点はちょっと難しくなってますね。自分が見て内容思い出せるように、一行二行でインパクトのある具体的な言葉で書こうとするものの、結局なんだか分からなくなってますね。あと単純に、導入部は書いたけど締めの文章は書けてないとか。やはり問題はソコですかね。まあ、確かにまとまな感想文であることは、ある意味不愉快でないことの必須条件ではありますが、そこらへんに突っ込まれないためにこのブログの紹介の箇所には感想「文」では無く「メモ」としてなんとか誤魔化しています。

どっとはらい

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萩原朔太郎「猫町」その1

「さては刀剣女子だなオメー」

猫町 (立東舎 乙女の本棚)

猫町 (立東舎 乙女の本棚)

夢野久作の瓶詰地獄で知った同シリーズ。全く知らない作者の本読んでみたらどう感じるのか?という点気になったので、取り敢えず入りやすそうなものを。
今回の絵師も刀剣乱舞イラストレーター。そろそろ、刀剣乱舞関連だから買ってるのではと言われかねない気がしないでもないけどそんなことは生憎とない。

イラスト

絵の特徴からすると、今剣あたりが担当なのかな。押絵と旅する男と違って今回は抽象的な絵が多い気がしますね。内容が内容なだけに。
この調子なら稲垣足穂あたりでも行けそうな気がしますね。
そして女の子キャラ絵も多めなので、安心

内容

方向音痴の作者が東西南北の方位の認識違いを利用して普段歩いてる街を違った「方向」から眺めて無意識の錯誤を利用した旅をしようと考える。
猫町と言う割に猫出てくるのほんの少しだな。

内容は良いですね。イラストと文があってるという感想もよくわかる

他のも読んでみようかとも思いましたが、ほかはあんま絵の方向性が合わない気がするので……読むとしたら江戸川乱歩ぐらいですかな。

あと電子書籍だとなんか、微妙ですね
文字サイズが調整できなくて自分の持ってるタブレットだと本より文字サイズ小さくなってしまう。色味も印刷した本の方が良さげ

ピーター・トライアス「メカ・サムライ・エンパイア」その1

メカ・サムライ・エンパイア 上 (ハヤカワ文庫SF)

メカ・サムライ・エンパイア 上 (ハヤカワ文庫SF)

なんとなく新書版のほうが表紙良さげなので新書版買いました。
文庫版だと分冊にしてもそんなにページ数無いのになぜ新書版だとこんなに分厚いのか……錬金術
新書版の版組レイアウト別に読みやすくも無いのに値段高いのはなんか騙されてる気がする。

内容はロボのパイロットたちが主役っぽいですね。主人公とその友達2人。
しかし、日独戦争が始まり、その内のドイツ系の友人とは敵同士になってしまう……らしい。ガンダムSEEDかな。
ドイツ系の奴が金髪碧眼らしいんでモロカガリなのではこれ?と思ってしまう。

松本ヒサオ「続・白髪小僧」その2

完結

やはりドグラ・マグラに収束してゆくのか……

ネタバレをするべきか否か……
しないとするなら、「キチガイ地獄」とか「ドグラ・マグラ」のとある登場人物を知っていれば、ああそういうことかと納得の行く出来でございます。
個人的にはやはり、ドグラ・マグラとは切り離したほうが良かったかなと思いますが

マなんといいますか、読んだあとで、「白髪小僧」とは結局覚めることのない「悪夢」つまり現実に耐えられなくなったミルロウ公爵が発狂してしまうという話だったんだなと気付きましたので
そういう意味では有益であったかなとも思います  

面白いSF

人間、ポジティブな情報よりネガティブな感想の方に飛びつくよねって証明

アルフレッド・ベスター「分解された男」

多分、これが一番面白いと思います。

分解された男 (創元SF文庫)

分解された男 (創元SF文庫)

SFとしての評価を受けていながらも、エンターテインメントとして面白いという異色の作品。
なかなかこのレベルで面白いものと言うものは早々ない。「虎よ虎よ!」のように変な思想もこもってなくて、単なる悪人と警察が戦い合うというエンターテインメントに徹しているあたりがすごい。

…ところで、超能力者系の話ってSFに入るんですかね……個人的にはファンタジー分野だと思うんですけど、一応SFらしい。

かつては早川から「破壊された男」というタイトルで出ていたけど絶版。だったのが最近また再販されたらしい

神林長平戦闘妖精・雪風

いいだろ別に、アニメから入っても

戦闘妖精・雪風(改) (ハヤカワ文庫JA)

戦闘妖精・雪風(改) (ハヤカワ文庫JA)

大方のファンと同様、GONZOOVAで知ったタイプ。最もPV見て本買ったので、やっぱりあの映像作品に対する評価は「糞」でしかないけど。
本当に本当に申し訳ないが、やっぱり神林長平の最高傑作ってなるとどうしてもこれになってしまう。
変に思索的でないからかな。他の神林長平作品はやっぱり笑える内容か、奇妙な世界での冒険というテイストのものが多い中で、現実と陸続きである話は親しみやすいのか。
なかなか褒める言葉が見つからないがまあそういうこと

伊藤計劃虐殺器官

SFは変わった

虐殺器官〔新版〕 (ハヤカワ文庫JA)

虐殺器官〔新版〕 (ハヤカワ文庫JA)

電脳世界で構築された清浄な世界から、銃の支配する現実の世界へ
SFというジャンルはどうにも戦争なるものを避ける傾向にある。現実で戦争起こりまくっているのだから物語の中ぐらいは平和な世界を構築したいのだろうか。あるいはSFの代表的な作品を書いた人たちが、「世界政府」のようなものを夢見る人たちだったのが大きいのだろうか。
大体の人が避けてきた「戦争」に従事する人々を書いているところが革命的でもあるし、現在の日本人の興味をうまく捉えているとも言える。
80年にも渡る平和に飽きた日本人はおそらく今度は幻想としての「戦争」を求めているのだろう。戦前生まれが過剰に平和を渇望するように

フレドリック・ブラウン「さあ、気ちがいになりなさい」

初めてオモシロイと思ったSFでありますので

さあ、気ちがいになりなさい (ハヤカワ文庫SF)

さあ、気ちがいになりなさい (ハヤカワ文庫SF)

SFにはこういうジャンルもあるんだなと感心した覚えがあります。これはSFに入るのか?YESであります。もちろん
話は短い、読みやすい、そして話自体のオチの付け方が面白い。
これをSFなんてジャンルに入れておくにはもったいない。
SF以外のジャンルとして売ったらもっと売れるのでは?

星新一ショートショートもなかなか面白いが、あんまり毒が強すぎる。

ヴァーナー・ヴィンジ「マイクロチップの魔術師」

攻殻機動隊 gits」の元ネタっぽい感じのする小説
ニューロマンサー」と違って変に意味不明用語を多発するわけでもないし、日本語の文章が妙ちきりんなわけでもないのでサイバーパンクの入門にはぴったりかもしれない。

ラストは色々言われてそうだけど結構良い終わりだと思いますね。
MMORPGを元にしたラノベやゲームみたく「アバターがイケメンで現実でもイケメン」とか言う非現実的でバカバカしい設定してないですしね。


此処から先は多分趣味の部類

八杉将司「Delivery」

耽美なのは冒頭だけだぞ

Delivery (ハヤカワSFシリーズ Jコレクション)

Delivery (ハヤカワSFシリーズ Jコレクション)

病院のような施設で育てられた少年たちが、月に一人ひとり施設の人たちに連れられて消えていく。
という冒頭シーンに、中々に幻想的というか「そういう」ジャンルが好きな人たちには受けそうな雰囲気を漂わせているなと思わずにはおれない作品。ホノジロトヲジの挿絵似合いそう
地球が地震で崩壊して、月をテラフォーミングして更に科学を発展させている世界とか言う点考えても中々ファンタジーな感じですよ。
全身義体とかなかなかに想像しやすいギミックが入っている

なんとなく今思い返してみると、大地震での地球崩壊とか月とか、全身義体とか、脳をCPUとして使う設定とかいろいろ、冒険ファンタジー名作選とかで影響受けているのではという気がしないでもない
よく考えたら、育てた少年少女を工業利用するって「コンピュータ人間」っぽいなと思ってちょっと気分悪くなった。

海野十三「金博士シリーズ」

なんか古い時代のSFを読むと現代からは考えられない間違った知識で書いてることが多いが、海野十三はそこらへんの面白さ*1だけじゃなくて、話自体も珍妙で面白い。
でもたいてい長編になるとなんかよくわからない尻切れトンボじみた終わり方するので、やはり短編のほうが面白いんじゃないかなぁ
海野十三作品はいろいろ読んだけどやっぱりハマる原因になったこのシリーズが一番面白い。



「書架の探偵」入れたかったが、あいにくとまだ読みかけなんで。
現時点ではランキングに入る傑作ではある。

*1:エセ科学とはまた別