夢野久作「少女地獄」その1

なぜ、今更そんなものを…?

多分、東京創元社から出たことに意味があるんだろう。 今まで角川文庫でしか入手出来なかった(とはいってもネット上ではいくらでも読める訳だが)少女地獄が他の出版社からも入手できるという。

収録作品は、

  • 死後の恋
  • 瓶詰の地獄
  • 氷の涯
  • 少女地獄

うーん、瓶詰と少女で地獄が被ってしまったな。
ちなみに収録作品のうち2つは同社の「日本探偵小説全集」に収録されている。収録作品かぶりを気にしなくなったのはいい事なのか悪い事なのか……。
まあ、解説で「ホンマは入れたい傑作あったんやけど、ウチの出版社から出てる傑作集と収録作品被るから辞めたわ。じゃあの」とかやられるよりマシなのかもしれんが。昔はそういうの見る度「ふざけんな」って思ったもんですが。
昔に比べると、収録作品被りがあっても気にせず買うと言う余裕のある人が増えたのか、逆に余裕なくてどれか一冊しか買えないって人が増えたのか……。後者はないかなぁ。だって1080円だよこれ。
まあ、知ってる人にはあんま有り難みも何もない本よね。大体、日本探偵小説全集の夢野久作集自体が1200円と考えるとかなり微妙。
持ってない人向けとか、新規向けなんだろうか。ド嬢で紹介でもされたか?
まあ、図書館とかはまず仕入れない本(地方の図書館なんかは同名の本があったら収録作品が異なってても仕入れない)だから図書館狙いではなさそうだが。
ただまあ、角川とか現代教養文庫とかの不気味通り越して気持ち悪い表紙に比べると大分マシではあるだろうけど。

少女地獄 (1976年) (角川文庫)

少女地獄 (1976年) (角川文庫)

取りあえず、そろそろ日本探偵小説全集値上げしそうだから早めに買っとくかな。

日本探偵小説全集〈4〉夢野久作集 (創元推理文庫)

日本探偵小説全集〈4〉夢野久作集 (創元推理文庫)

死後の恋

おなじみ男装女子がレイプされて宝石打ち込まれて死んだ話。
大筋ではあってはいるもののなんか昔読んだのと若干記憶が異なる。
仲間が森に入ってから、語り部が森に入ったのは割とすぐだったような気がしていたが、実は夜になってからだったらしい。ついでに先に入った仲間達は気に括り付けられて拷問されていたそうな。男装女子は腹部に宝石撃ち込まれて死んだと思ってたけど、首吊るされていたところからすると死因は絞殺ですかね。
敵軍に紛れ込んでいた男装女子をレイプして吊るして殺して下腹部に持ってた宝石を撃ち込む。う~ん、悪趣味。ロシア人的には普通のことなのかな。
そもそも女性が男に化けて軍隊に入り込んでバレないなんてことはあるのだろうか……?ロシア人は風呂入らないのかな。
それとも、そんな疑惑すら起こらないほど男らしい顔立ち体付きしてたのか
何にしても最後の「ああ……アナスタシヤ内親王殿下!」は相変わらず謎。話しかけていた日本軍人と、殺されたロシアの皇族に何の関係が……?

買った本

正直失敗したな。
今月あるいは先月のものです

機械探偵クリク・ロボット

機械探偵クリク・ロボット〔ハヤカワ・ミステリ1837〕 (ハヤカワ・ポケット・ミステリ)

機械探偵クリク・ロボット〔ハヤカワ・ミステリ1837〕 (ハヤカワ・ポケット・ミステリ)

ルーフォックオルメスが酷すぎて相対的に評価爆上げしたので。
文庫本はなんか字がでかくてあんま買う気にならなかった。と言うかなんだこの表紙は…買わせる気あるのか…

ハイ・ライズ

何度目だバラード。表紙につられて買うのもええかげんにせぇよ。

幽霊海賊

幽霊海賊 (ナイトランド叢書)

幽霊海賊 (ナイトランド叢書)

小口が研磨されてないの見つけてやった!と思ったら、底のほうが研磨されてたという…せめて一年は研磨すんの我慢しろよ

エイルマー・ヴァンスの心霊事件簿

エイルマー・ヴァンスの心霊事件簿 (ナイトランド叢書)

エイルマー・ヴァンスの心霊事件簿 (ナイトランド叢書)

同ページ数の他の本に比べるとどうも高いな…、異色作家短篇集よりはマシかもしれないが。

ラヴクラフトライト3

超訳 ラヴクラフト ライト3 インスマスの影

超訳 ラヴクラフト ライト3 インスマスの影

流石に買うの早すぎた。全然読む気にもならないで放置中。
このシリーズ知ってから買うまでが時間かかったせいだな。
次出たら買おうか買うまいかとか悩んでるけど、そろそろ終わりそうよね。読みやすいのは良いから読みにくい狂気山脈辺りとか早めにやってほしい。シリーズ中断する前に

中継ステーション 新訳版

珍しいことにクリフォード・D・シマックだ。
何年ぶりなんだろうな早川からシマックの本が出るの。20世紀SFの短編は面白かったんだが……。その後色々読んだがそこまでのもんでもなかったな。長編はホラー臭い表紙の「都市」ぐらいか。この本も一応持ってはいるのだが、表紙が良さげになっていたのでついつい。ちなみに読んだことはない
f:id:ext3:20160918215248j:plain:h240
前のバージョンはなんか不気味だった
中継ステーション (ハヤカワ文庫 SF 265)

中継ステーション (ハヤカワ文庫 SF 265)

ジャックリッチーのあの手この手

ジャック・リッチーのあの手この手

ジャック・リッチーのあの手この手

名作とは言い難い気がするか、持ってて損はしないだろう。多分。表紙もまともだし。

ジャックリッチーのびっくりパレード

ジャック・リッチーのびっくりパレード (早川書房)

ジャック・リッチーのびっくりパレード (早川書房)

読んではない。まあ、ネームバリューと表紙よな。

大体において本なんてものは実際内容読んでみて、それで手元に置いておきたい気になったら買うのが正当よな

「殊能将之未発表短篇集」その1

殊能将之 未発表短篇集

殊能将之 未発表短篇集

犬ぎらい

なんとも共感できる内容……
本当勘弁してほしいよね。犬が苦手ってだけで人非人扱いするの

鬼ごっこ

北沢、黒川、安原…
うーん。聞いたことない名前だな。元ネタあるのかな

W.H.ホジスン「幽霊海賊」

幽霊海賊 (ナイトランド叢書)

幽霊海賊 (ナイトランド叢書)


やっと読み終えた…随分時間かかった気がする…
内容的には幽霊海賊にとりつかれた船がなんやかんやあって沈んでしまう話。
といっても、幽霊船と邂逅するまでかなり時間かかるし、出てきてからはほぼ一瞬でけりがついて沈められてしまうという事態に。
それまでは幽霊船の乗組員(幽霊)が主人公の乗ってる船に姿見せて(といってもぼんやりとしか見えないわけだが)、畳んだ帆をほどいたり、マストに登った人間の乗組員を落としたりといった嫌がらせじみたことをするだけ。
確かに雰囲気はいいんだけど、ちょっと幽霊海賊自体がそんなに出番ないというか。ひたすら嫌がらせしてただけのような…
マストに上って殺されそうになった船員助けたり帆に角灯取り付けたりするのだが、ここら辺のマストやマストに取り付けられた足場、縄の名前やら帆桁の場所の説明がよく分からなくてなんとも。後ろのページに解説は付いているが大して役に立たない。せめて図説載っけるべきだったな。
仕方ないので訳のわからんところは検索して分かりやすい解説してるとこを探す羽目になった
http://www53.atwiki.jp/alonsodeleyva/pages/56.html


まあ、内容はそう悪くないんだけどね。異次元を覗く家とかナイトランドに比べたら。ちゃんとホラーしてるしね

「安楽探偵」その1

小林泰三なのに殊能っぽい。と言えなくもない

安楽探偵 (光文社文庫)

安楽探偵 (光文社文庫)


小林泰三と言えば超限探偵Σに代表される飛んでも系の安直落ちか、密室・殺人からの派生の複雑怪奇な推理を行うパターンの両極端な感じの推理小説しかない感じだったのが、
今回ようやく両者をうまいこと組み合わせた短編集が出た感じ。
いわゆる「密室・殺人」の四里川とその助手風な探偵と助手のコンビの出てくる話。多分四里川ではないな。一応実体はあるみたいだし。もしかしたら生前の話なのかもしれないけど。

アイドルストーカー

簡単にいうとperfect blue
探偵事務所に自分をアイドルの富士唯香だと名乗る依頼人が訪れた。
ストーカーからの手紙に悩まされているという依頼人。最初は自分の格好を真似たストーカーの写真が送られてくるだけだったが、段々とその送られてくるまでの間隔が狭まり、遂には雑誌に載せたりしていない自分の部屋着と同じ格好の写真まで送られてくるようになった。そしてついにコンビニに出かけて戻ってきたときに同じ格好のストーカーと対面する羽目になったそうな。一連の話を終えた依頼人は風呂場のマジックミラーに写っていたという男の写真を見せると言って、手鏡を取り出した。「ほら、ここに写っているこの男ですよ」

依頼人自身がそのストーカーという小林泰三によくあるパターン……
と思ったら……
わざわざ依頼人の性別ぼかした書き方したり、助手が依頼人を不自然に思う描写入れたりと、この手のパターン知ってる人こそ騙される系のヤツですかね。
最初「またこのパターン?」と小林泰三によくあるタイプのアレかと思っていたので見事にやられた。でも最後の書き下ろし読んだら流石にそれも嘘かなと思えてくる。
うん。落ち的にも叙述トリック的にもperfect blueだな。

消去法

他人を消し去ることができる能力を持っているという依頼人。最近同じ能力を持った人間が現れたという。

これはどう思わせたがってたのか謎っぽい。 「予め決定された明日」的な妄想落ち?
実際やるとしたらかなり大がかりだなこれ……

「時の娘」その1

大丈夫!中村融/編の海外作家アンソロジーだよ

時の娘 ロマンティック時間SF傑作選 (創元SF文庫)

時の娘 ロマンティック時間SF傑作選 (創元SF文庫)

ちょっとばかし話題になっていたので念のためどんな話か読んでみようと思ったところ。まあ、読まずに提案したのはどうかと思うが。

チャリティのことづて

むかしむかし、アメリカの農村に住んでいたチャリティは脳炎にかかったことによって、未来のアメリカ人男性と視界を共有できるようになったそうな。ところがそれを村に吹聴して回ったものだから、好色な治安判事の目に留まり魔女裁判を受けるはめになったそうな。
めでたしめでたし。

まあ助かるんだが。
感想はへー。ってだけで好きな人には良いのかもしれんね

「どんがらがん」その2

さもなくば海は牡蠣でいっぱいに

なんか、「あるいは牡蠣でいっぱいの海」のタイトルの方が良かったとか言われてるヤツ。まあ確かにそうかもしれないけど内容的にはこっちの方が良いのでは?と言うか、どっちにしろ内容を表しているとは言いがたいタイトルよね。

あるいは裏切りという名の犬 [DVD]

あるいは裏切りという名の犬 [DVD]


内容は異星人が無機物の形で地球上に存在しているって話。割りとありがちじゃないですかね。
オスカーとファードは共同で自転車屋を経営していた。ある時ファードのお気に入りのフランス製自転車を勝手にオスカーが使用して傷物にしてしまった。切れたファードは自転車をめちゃくちゃに切り裂いて店の裏に放置しておいたが、数日して見ると自転車は原状回復していた。
ファードはクリップはすぐなくなるのにハンガーは溜まる一方であることからとある仮説を立てていた。この地球上にはものに擬態する生命体がいて、幼虫時にはクリップの形をしていて、成虫になるとハンガーの形になる。これを元に、このフランス自転車もまたインベーダーの擬態であるとの持論を展開する。バカなことをとオスカーは笑うが、フランス自転車に乗せられて怪我をしたファードは怯えて家に引きこもった。
3か月後、店を訪れてあのフランス自転車はどうなったと訪ねる客に、オスカーは「種馬にしてやりましたわ」と笑って答えた。
一方ファードは家の洋服ダンスでハンガーに首を絞められているのを発見された。

「俺が公園で精出してるあいだ、お前もちゃんとこの店で精出してくれたんだろうな」
って汚い発言だなぁ……
もしかしてオスカーも人間に擬態した異生体だったって落ちなのかね


どんがらがん (河出文庫)

どんがらがん (河出文庫)