察しの悪いジャーヴィス
ジャーヴィスがスティルヴェリーの診療所で代診医をしていたところ、H・ヴァイスと名乗る男から、友人の診察に来て欲しいとの依頼が来る。
外の見えない馬車に30分せられて着いた先は、庭の付いたアパートメントだった。対面した患者は昏睡状態にあった。
ジャーヴィスはその患者フィリップ・グレーヴズをモルヒネかアヘン中毒だと診断するが、ヴァイスは睡眠病ではないかと言い張り診断を受け入れない。結局アヘン中毒用の処方を御者に渡してそれでその日は終わりとなった。
別の日、ソーンダイクと出会った時にその話をすると、方位磁石と時間を記録するノートのセットを渡され、もし次に同じことが起きた時はそれを記録することで後程患者の住所を特定できるという。
そうして次のチャンスが巡ってくると馬車での移動時間と方向を正確に記入した記録が出来上がったが、今度の患者の容態は前回よりも危険だった。そのため無理矢理起こして歩かせたりしてようやく山を越えたが、それ以降、ヴァイスからの連絡は来なくなった。
流石に事件性ありと判断したジャーヴィスはスティルベリーを伴い警察へ駆け込むが、警察は取り合ってくれない。
そうして、ようやく代診の期間が終わり、ソーンダイクの事務所のジュニア・パートナーになったジャーヴィスはソーンダイクと依頼人のところへ向かう。その依頼人は数日前死亡したジェフリー・ブラックモアの甥のスティーヴン・ブラックモアで、叔父の遺言により、その財産を受け取っていたが、死の数ヶ月前に書き換えられた遺言書のせいで、叔父の相続した伯母の財産が受け取れなくなっていた。
そして、伯母の遺産はジェフリーの兄ジョン・ブラックモアへと相続されていた。
この点で書き換えられた遺言状のせいで受け取りが不可能になってしまったため遺言状や遺言状の作成された状況に不備を見つけて、遺言執行をひっくり返して全財産受け取るようにできないかという相談だった。
果たして、ジェフリーの残した遺言状は正当なものか?その死は他殺か?事故か?ソーンダイクの活躍がようやく始まる。
ホームズだったら短編でかたがつきそうな話だが、そこはオースティン・フリーマンなのでご丁寧にやる。グレーヴスの住まいがどういう場所だったのかとか、そのゴミからメガネを復元したりとか、例の記録を元に家を突き止めたりとか。
でもな、グレーヴスとジェフリーどっちもアヘン中毒で似たような時期に死んでる可能性あるのに、この二つ全然結びつけないジャーヴィスはなんなんだろう一体。
当然、そんなの考慮してたけど、ありえない点があったから除外してた。とかではなくマジで思いつかなかったらしい。ジェフリーの写真見てグレーヴスって普通に判定下してるしね。
なんでどっちも片目が見ててないとか、メガネかけてるとかの特徴まで一致してるのに全く結びつけないのか‥‥‥察しの悪い雨穴並みに察しが悪い。
まあ、この辺りの小説こういうあえてツッコミどころ作ってるくさいところあるけど。
後の推理小説になるほど、読者の推理能力が上がってくるせいか、無駄に難解。もはや、話を楽しむとか以前にただの脳トレパズル。そんなのに比べたら、状況がシャーロック・ホームズ並みに単純なこちらの方がまだマシかもしれない。
リアリティ描写は現代並みだけどトリックはホームズ並みってある意味貴重よね。
まあ、話としてはどうやってもこれホームズじゃ短編でカタつきそうな話じゃん!って思うんだけど、まあ、フリーマンだけあってそこまで飽きさせない。
この人、正確な描写こそが、探偵小説に面白さを与える。とかいうてるけど、この人の小説の面白さはそれとはあんま関係ない気がする。単にこの人小説書くのうまいだけだよ。
倒叙推理とかやって面白さ確保できてる分けだからね‥‥‥。
まぁ乱歩で同じことやってもここまで真に迫った描写は出来ないだろうが…
