伝奇ノ匣 夢野久作「ドグラマグラ幻戯」に収録されていた「傀儡師(抄)」の完全版に近いもの。つまりコレマタ不完全版
とは言え、「ドグラマグラ幻戯」のよりは内容は発掘されている。
今回読んだ国書刊行会の底本夢野久作全集8によると構成は
- 一、遺書
- 氷つた霊魂
- (欠号)
- (欠号)
- 岩乗な手
- 薔薇の一枝
- (欠号)
- (欠号)
- 麻の袋
- 赤い炎が燃え上がる
- 二つの棺桶
- すべてのをはり
となっており、最初の話だけなぜか、「一、」と番号が振られている。
「伝奇ノ匣」にあったのは確か「岩乗な手」「薔薇の一枝」の二つぐらいだった覚えが。
個人的にここまでそろった「傀儡師」を読めたのがこの全集の一番の行幸におもえる。
ストーリー
一、遺書
冒頭、真束稀一の遺書から始まる。
未練たらしく思えたのかその遺書を破いて冬の川に飛び込もうとするところに謎の人物に止められる。が、それを押し切って川に投身。
氷つた霊魂
結局、あの後助けられたあと、それまでの貧乏暮らしとは打って変わって豪華な看護を受ける稀一
岩乗な手
民衆芸術館で自分の肖像画が展示されているのを見つける稀一。しかし、乞食暮らしをしていた頃の絵なので観覧客は本人が目の前にいるとは分からずじまい。
稀一を自殺から救った男の名前が星海晃次郎と判明。
薔薇の一枝
稀一との食事する星海だったが、メイヨー・グラックスと名乗る人物から面会を求められて部屋を出て行く。その隙に、そのメイヨー本人が稀一の前に現れ、星海氏の言うことは信じるな、翁はあなたの敵であると告げられ毒薬を渡される。
麻の袋
翁が稀一の父、ワーシカ・マーレウィッチと会ったときの回想。にしな翁と須磨大佐が稀一にバイオリンとその財産を受け継ぐ事を目的としていることが星海氏から語られる。
という感じで、「伝奇ノ匣」でどういう話なのか全く見当がつかなかった頃に比べると大分話が分かるようになってる。
欠落してる部分は掲載誌の「黒白」のバックナンバーが見つからないためとのこと。
福岡県立図書館にも「伝奇ノ匣」に収録されてた箇所以外のバックナンバーはなかったが、一体どっから「麻の袋」以降持ってきたんだろうか。
話は大分わかりやすくて面白い。久作のあの妙な終わり方せずに一応経緯の解説やらしてくれるし。
まあなんかおかしなところ多いんだけど。
残りの四回分が早く見つかる事を祈るばかりだ。

