「黒衣夫人の香り」その2

臭すぎる


読めるは読めるけど、前後繋がってない箇所とか矛盾しそうな箇所とかあって読んでてダルい。
例えばP30でダルザックから「急ぎ来たれ」との電報を受けるが、その前後でバルメイエの話してたわけでもないのに次の章になるといきなり「すると君は彼の死を信じなかったのかね?」と言い始めるルウタビイユ。更にこのあとは直行するわけでもなく、のんきに昔自分の居た学校を見て回り、昔語りをするのだから、電報の辺りだけどっか別の段落から飛んできたのか?と思わずにはいられない。
そもそも、ダルザックとスタンガソンの結婚式直後から出かけるのが、謎なんだよな。語り手もバルメイエを警戒してるのに呑気に旅行してる場合なのか?と。

他に不可解なのはダルザックの従兄弟ブリニョオルの事で、なにかにつけて語り手を苛つかせている。しかしこれを許容しているのがダルザック側ということで謎が広がる。世話になってる相手に不可解な事故が起こってるのは兎も角、婚約者に対する暴言も許されるのはよほど仲がいいか、弱みを握ってる場合だけだよな。こうなるとバルメイエがダルザックに化けていて、その証拠をブリニョオルが握っているなんて事も考えざるを得なくなるな?
或いは語り手がバルメイエの化けている当人で、をブリニョオルはその邪魔しているのかな?
この説は割と有りそうで、バルメイエ当人が語り手に化けているなら、ダルザック側に何があったところで、一番危険な当人はこうして見張っているのだから問題ないだろうと余裕しゃくしゃくでユー観光できたのだろう。
また、マティルドがバルメイエが鏡に映ったのを見たり、ダルザックも駅や踏切でバルメイエを見かけたりして、旅行をいったん取りやめにして、赤砂のアーサー・ウィリアム・ランスの住んでいるエルキュール城に一時避難することになるのだが、
この時、語り手が妙に呑気に観光気分で風景を描写してるのも、語り手=バルメイエと考えると割と納得がいく。
それに電報の件に関しても、「彼の死」がダルザックの事だとしたら?バルメイエ本人はルウタビイユと行動していて、部下に暗殺を任せていたとしたら?バルメイエは暗殺に失敗したことを知ったが当然そう簡単に殺せるとは思ってないという意思表示であるとも考えられる。

しかしそんなピーキーな事やってたら、「黄色い部屋」以上に有名になってる筈だがな?

註釈も謎で

(師″メエトル″は弁護士の敬称)

とあるがその前の文は

アンリ・ロベエル師とアンドレ・エッス師

のみで「メエトル」なる語はルビにすら出てきてない。仮に弁護士として使っているとしても、自分も弁護士の語り手が敬称使う必要あるか?同僚なのだからうしろに弁護士と付ければよいだけでは?

エルキュール城の見取り図も謎で、説明箇所にアルファベットを振っているが、どう言うわけか、B′とかB″とか、ダッシュを多様している。
他にもアルファベットはWまで使われているようだが、途中のG、J、M、N、O、P、Q、R、S、T、U、Vは不使用。
普通にアルファベットの最初から順に使っていけばいいのに謎だ。

訳者この辺気にならなかったのかな?
そもそも、フランス語版からの翻訳なの?

あと、旅行先に届いた電報の時刻から、ダルザック夫婦の電報打った位置を割り出そうとしてる様なんだが、フランス鉄道の路線には疎くてどこがどこにあるのかさっぱりわからん。新訳作るなら路線図入れといてほしいなぁ。
そもそも、教授とは途中で分かれて別ルートの列車乗ってるのは何なん?どういう理由でそんな面倒なことを?

登場人物

ルウタビイユ
18。新聞記者。マティルドがバルメイエとの間にこさえた子供。アメリカで生まれて、その後フランスの学校に入れられていた。9歳の頃、泥棒の嫌疑を掛けられて学校から脱走した。
マティルド
前作での被害者。ルウタビイユが9歳になるまで正体を隠して定期的に学校に面会に来ていた。バルメイエ死亡の報を聞いてようやくダルザックとの結婚式を挙げた。
サンクレエル
弁護士。ルウタビイユの相棒。どうやってルウタビイユと知り合ったのかは不明。
ガストン・ルルー
新聞記者。ルウタビイユがオレンジ釣りをしているのを記事にした。その後パリにやってきたルウタビイユに左足探しの仕事を紹介した。
スタンガソン教授
マティルドの父親。
バルメイエ
怪盗。マティルドと一度結婚している。
ロベエル・ダルザック
マティルドの夫。物理学者。
ブリニョオル
ダルザックの従兄弟。研究助手をしている。結婚式直後ダルザックにヤジを飛ばしている
アーサー・ランス
マティルドに惚れていた男
エディス・プレスコット
ランスの結婚相手