解決編のない「作者不詳」
- 作者:三津田 信三
- 発売日: 2017/07/19
- メディア: 単行本
なんというか、幕間で若干のミステリじみた視点からの解釈?解決編らしきものはあるが、最後の以外はちょっとした気づき程度のもので、スッキリ解決するようなものではないのが残念
幕間(1)
頭三会の帰りに出くわした怪異のような現象の話。まあ、単なる気の所為とかでしょってギリギリ言えるレベル。
しかしまぁ、前から見たら白、後ろから見たら黒の怪人ってまるで江戸川乱歩のD坂の殺人事件みたいだな。
次の記録読んである間になんか怪奇現象が起こるかもしれないよというありきたりな警告が入る
赤い医院
まるでボイスロイドホラーゲーム実況。
烏合邸の一つである赤い医院の探索を依頼された女子大生の録音記録を書き起こしたという体のストーリー。
ただまあやってることは要するに実況動画の音声のみの版みたいな感じで、生の人間のやる実況動画だととにかく騒がしいのだが、これはわりかし状況説明をしてるんでボイスロイド実況の方に近い感じがしますね。
はっきり言って屋敷が入り組みすぎてて今どこをどう通ってんのって言いたくなったり隠し部屋がある辺りもうホラーゲームじみてるよねっていう。
結局この主人公は怪異「黒い人影」が三人ぐらい出てきて囲まれたせいでDead Endになったようです。
前回まで屋敷の色に合わせて黒だの白だの言ってた割に赤影が出てこなかったね。
幕間(2)
前にやったみたいに、うちに怪異がやってきた系のお話。
うーん。作者不詳みたいに完全ファンタジーでやってくれるんならお話として面白いが、作者が実際体験しました!みたいなテイストでやられるとクソ萎えるよね。
テープはぶっちゃけダビングして、何分から何分まではどこどこの業者、その後何分から何分までは他の業者。みたいに分割して発注したらええんちゃうって思うんだけど。
ていうかそうでもしないとできなくないかこれ?
とりあえず全部聞くとなにかが来るなら、全部聞かずに途中までとか途中からとかなら問題ないんちゃう?
それにしても作者は昔編集業をしていたらしいが、やっぱりそういうオカルト系の編集してたんだろうか。
青い邸宅
超心理学者を名乗る研究者が烏合邸の洋館で怪異を体験する話。
温度感知センサーとか使ったりそれと連動して自動でシャッター切るカメラとかまた典型的に胡散臭い感じ
それにしても写真には撮ったときには出てこないけど、時間が経過すると足跡が映るってのは証拠としてどうなん?みたいな気がするんですが。
下手すると発表してるときになったらまた足跡や足音消えてるって可能性大なんだが。
オチというか霊媒の正体とかは誰でも感づくホラーかなぁ。別に悪くはないけど。
てっきりこのサトオって同作者の他の短編とかに出てくる登場人物でしたみたいなオチと思ったのに。
終章
4つ全部終わったのでこれ本にしようねって話。
にしても住んだ住人の記録4つしかないのか。もうちょいたくさんありそうな気がしてたんだが。名前的に
あとは、白い屋敷の縁側から玄関まで行って出たって描写がおかしいとか言う指摘があったり。
あれやっぱおかしな描写だったんだ。この作者によくある説明下手な地の文のせいで矛盾した描写になってるんだと思ってた。
が、この手のおかしな描写の指摘はこれっきりで全体の矛盾点をつくとかいうのはなかったな。
烏合邸の真ん中にもう一つ部屋があったんなら、黒い部屋の子供が言っていた烏合邸の真ん中にあった目玉みたいなものの正体もわかりそうなんだが。
結局黒い部屋の8月以降の描写の謎も匂わせるにとどまってて烏合邸が崩壊したのかどうかも謎という。
うーん下手にカタストロフ入れないほうがいいこともあるけどね。描写が下手だとがっかりすること多いし。
あとは赤い医院を書き起こすときに怪異が起きるので業者に発注したとかの話。と青い邸宅読んでるときの怪異回避をどうするかって話。
うーん。描写見てるとやっぱどこにいても無駄臭いよね。
怪異から逃れるにしても閉鎖空間であればあるほど大抵は怪異側の思うつぼみたいな感じになるし。
今回わざわざ間接的に訪ねてきてるわけだから、人間を壁に使うのが一番手っ取り早そうだよね。もしかしたら烏合邸も人間を盾にして真の住人を怪異から守るための屋敷だったのかもしれないね