「塔の中の部屋」その2
随分時間がたちましたが
- 作者: E・F・ベンスン,中野善夫,圷香織,山田蘭,金子浩
- 出版社/メーカー: 書苑新社
- 発売日: 2016/07/25
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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霊柩馬車
ヒューが語り始めたのは、田舎の屋敷で起こった怪奇ではなく、ロンドンのアパートメントから目撃した霊柩馬車についてだった。
友人のアパートメントに泊まって、寝苦しさに起きたところ、窓の外に霊柩馬車が止まり、ヒューに乗れるのはあと一人だけだと囁いた。時計を見ると、11時を指していた。
ほぅ…なるほどね。
いいか悪いかよりもなんか、もうちょいうまく落ちの付けようがあるような気がしてしまう。なんとなくこの落ちはどこかで聞いたような気がしますね。
「黄衣の王」みたいな感じ漂わせておいて、これかい!でも、この本ではまだマシな方よこれ。
猫
女に振られて茫然自失となって鬱状態になっていた男が、ある日芸術的才能を開花させる
は?ちょっと落ちが……意味不明ですね……
結局、いつ破滅が訪れるかというプロセスを楽しむものなのだろうか……。猫のような目をした女に振られたのと、最後猫らしき動物に引き裂かれて殺されたのに何か因果関係が……?
女の目が描けないから、庭に現れた灰色猫の目を描いたあたりとか、その絵を描いてしまってからまた鬱状態になるあたりまでは分かるんだが、最後アトリエで未完成の女の絵を前にして、その絵ごと引き裂かれてズタズタになっていたのは展開唐突過ぎて「は?」しか感想出てこないですね。
芋虫
かつて語り部の泊まったことのある館では、誰も使用していない寝室があった。ある晩、その部屋を通りかかった主人公が目撃したのは灰色の光を放つ大量の芋虫が、ベッドを覆っている光景だった。
癌が感染するとか言う、石器時代並みの教養に基づいたホラー?
とも考えてしまうが……。癌の化身の芋虫に取り付かれて、癌発症。迷信にあふれていた時代でもあるまいし……癌となるとホラーよりも医療の分野という感じであんまホラーの薄汚さとは合わない気もするが。最後の末期癌患者のいた部屋を消毒とか言うあたりも、医療の未発達だった時代の名残という感じで、話自体がバカバカしい感じになってしまう。
幽霊などの実体を伴わないホラーが多い中で、芋虫みたいな気持ち悪い代物が出てくるのと、その落ちはまあ、意外性あっておもしろいけど………
現代日本でやったら癌患者にたいする差別を云々言われ……すらせずに鼻で笑われるレベルかな
落ち:結局その館の主はガンで死ぬ。主人公はもしやと思い奥さんに尋ねてみると、発症はあの館に滞在していた頃で、例の寝室はがん患者が使っていたものだった。
チャールズ・リンクワークスの懺悔
母親を殺した貧乏文房具屋が処刑された。処刑に立ち会ったティーズデイル医師はしかし死んだその男の気配がまだそこにあるような気がしていた。そして、ある日、処刑された刑務所から無言電話がかかってくる……
ありがちにありがちを重ねてパイ生地にしたような感じ。
何か実は犯人別にいたとかならまあよかったんだけど。
無言電話掛かってきたので、交換局につないでかけてきた箇所調べて貰ったらなんと刑務所でした、で終わらない点はまだましな方かな。「そこは墓場です」よりはまぁね………
落ち:結局成仏できてなかったので神父を読んで有り難い文句を唱えさせる。すると幽霊は成仏した