小林泰三「肉食屋敷」その1

肉食屋敷

肉食屋敷

肉食屋敷

とある製薬会社の御曹司が研究所で太古の地球に落下した生物を蘇らせてしまう話。
まだホラーだった頃の小林泰三

へーそういえばこんな落ちだったね。でもなんか意味わかんなくない?
なんで、入れ替わったまんまのシュブ=ニグラスの仔の身体をそのまんま町中に入れたんだろう。ていうか、本体から分離可能なの?じゃあ訪ねてきた男は何だったの?小戸は死んでるし、コピーされた意識は本体から離れられない状態なんじゃなかったっけ?
単に「黄の印」っぽいのと「ダゴン」の「窓に!窓に!」やりたかっただけ?
この頃はそこまであからさまに元ネタ出すんじゃなくて分かる人には分かる的なクトルゥー神話タームを出していたらしい。
「C市」はあまりに想定通りの落ちすぎてびっくりしたぞ

妻への三通の告白

「手紙」ではなく「告白」
マネキンを愛しの女と思い込んで(意図的に)老後になるまで一緒に暮らしていた男の話。
似たようなドキュメンタリー風バラエティって「USO」かな。ダッチワイフを家族として暮らしている男の話。いい話風のドキュメンタリー仕立てのお笑いなんだろうけど傍目にはサイコ野郎にしか見えない。
て言うか、知ってから読み返すと第一の手紙の内容とか本当恐怖なんだけど。磯野よく理解したな。
て言うか、磯野と野原ってサザエさんクレヨンしんちゃんかよって。じゃあ「綾」って何から取ってんの。

獣の記憶

多重人格もの。
健常者に自分は多重人格だと思わせておいて、犯人に仕立て上げようとする話

これも冷静に考えるとわけわかんないんだけど。
犯人の女は捕まった状態で、自分がどうやって犯人にたどり着いたか?を解説してんの?意味わかんなくない?こっちの女の方が多重人格なんじゃない?
なんとなく「記憶破断者」のラストから続きそうな気がしてたけどそうでもないね。あっちは前向性健忘症でこっちは暗示にかかりやすい。
こっちの女は白っぽい肌に赤い口紅と赤いマニキュアがポイントらしい。あっちは黄色い顔だったような。
まあ、この主人公が被害者だってのはわかったけど、あのクソみたいに散らかったゴミ屋敷みたいな部屋は何だったの?


獣の記憶 (創元推理文庫)

獣の記憶 (創元推理文庫)

なんか意外に小説としての完成度高くて驚くわ。デビュー後4冊目の段階でこれ?前何やってたの?じゃあ最近の不思議の国のアリス(「アリス殺し」のことではない)みたいに色々破綻して稚拙な感じがする小説は何なの?
最近のAmazonレビューとかに「小林泰三にこういうのは求めてない」って変なこと言うやつ居るなって思ってたけど、この辺の作品読み返してみると何となくそう言いたくなる気持ちもわかる。その頃はまだ数篇しか出してない段階で作家の方向性とか何が分かるんとか思ってたけど。個人的には小林泰三の小説って分かりやすいってのが味噌であって、言うほど面白いって作品そんなになくない?って思ってたから。でもまあ、こういう変化って不可逆なものだからこういうものを書くことは多分二度と出来ないだろうね。個人的には「アルファオメガ」のあたりからなんか方向性変わってつまんなくなってきた気がするけど。
近親者か知り合いに「お前の話はわかりにくい」って言われでもしたのか過剰に変な解説入れることが多かったし。SFジャンルだと逆に解説しなさ過ぎて意味わかんない部分があったし。そしてその割にお話はなんかテンプレなんスよね。