「天外消失」

「世界ミステリ全集 37の短編」のうち14編を収録した本
37個全部入っているわけではない

「ジャングル探偵ターザン」

しょっぱなに持ってくるのにこれはどーよ?と言いたくなる短編。まあターザンシリーズ中の一遍なんでこれだけ読んで面白いわけがない。探偵小説的に特徴があるわけでもないし。
ありがちな知名度だけはありそうなシリーズものの一遍だけど、実は探偵小説的に優秀……なんてことはない。


ターザンが類人猿に恋するのはいいんだけど子作りとかしたらそれ獣姦になるんじゃないのか。
ホモが犯罪のお国柄でよくこんなものが受け入れられたなとちょっと驚き。

「死刑前夜」☆☆☆☆☆

メキシコの運河工事現場へアメリカからやって来たという何かしら曰わくありげな男がやって来た。

見事にだましてくれた良い短編。まあ、ある程度予想はついてたけど。

「殺し屋」ジョルジュ・シムノン

ジョルジュ・シムノンの作品は前に一度読んだことがあるけど何処が面白いのかさっぱりでした。下手なハードボイルドもどきで探偵に聡明さがないのがね。
なんかハードボイルドっぽいというか、日本の刑事ドラマっぽくて地味。
先が見えずにイライラさせられる。

「エメラルド色の空」エリック・アンブラー/小泉喜美子

なんか訳が、どこぞのお婆ちゃんはスパイシリーズで「オウム」を「オーム」と表記していた馬鹿訳者と同じ臭いがする


登場する博士が相当変なキャラで、読んでてイライラさせられる。妙に礼儀正しいが慇懃無礼というか、
「協力したい」なんていっておきながら、それが受け入れられないと知ると、知人のお偉いさんに働きかけて自分を捜査に介入させる辺りかなり傲慢というか。
まあ、そのくせなぞかけじみたことしか言わずに、署長をイライラさせるだけなのだからいったい何がしたいのかと。

「後ろを見るな」☆☆☆

フレドリック・ブラウン

メタ的なサスペンス。
雑誌に載っていると言う理由がなかなかまとも。
しかし、これは一番最後に載せるべきなんじゃないのか?どっちにしても本の形態が違うからどうでも良い事だけど。

「天外消失」☆☆

ややマジック気味な錯誤を使ったトリック。
割と良編?。

「懐郷病のビュイック

ミステリというか、SFぽい感じのする一編。
ある辺鄙な町にやってきた奇妙な一人の男。それに続けて起こる銀行強盗。
手がかりは逃げる途中に撃ち殺された強盗犯の一人とそいつの乗っていた車。
これだけ手がかりがあれば、簡単に解決するかと思われたが意外にも犯人の居場所は特定できない。


実はこの強盗連中が宇宙人だったとかやっても違和感ない気がする。流れ的に。
事件未解決で、その後関連する人物の語りによって、思わぬところから事件の真相が明らかになる。みたいなのかと思ってたら普通に解決しちゃってやんの。
解決は如何にも頭よさそうな腺病質のガキンチョがやってくれます。

「女か虎か」☆☆☆

説明不要の有名な短篇。
まあ、女が出てくるかどうかは別として、王女が虎がいる(と思っている)方の扉を指差したのは間違いない。と思う。

「白いカーペットの上のごほうび」

この女頭悪いな。
そりゃそこで知らんぷりすりゃ当然報復を受けるわ。
死体運んでる途中で警察に通報されて、その場で逮捕、事情聴取でその女の話をしても、一向に信じてもらえず、その女のところに警察が行くがそのアパートメントは何年も前から空き部屋だった。
とかいう話かと思ってたらそんなことは無くあっさり終わる。



ところでこれに収録されてる14編というのが、「世界ミステリ全集 37の短編」の37編のうちで現在出てるアンソロジー等に載っていないものらしい。なんで残り滓みたいな状況になるのは仕方ないのかなぁ。
そもそも37編である程度まとまっていたものを、14編だけ抜き出してまとめているのだから穴ぼこだらけであまり面白みを感じないというのもまあしょうがない。
世の中、いつまでも古びない本当に名作といわれるものもあれば、時代とともに忘れ去られ古びていく作品もあるわけで。
今回のは明らかに後者に属してますな。