小林泰三「失われた過去と未来の犯罪」

タイトルと中身の関係無さが凄い

失われた過去と未来の犯罪

失われた過去と未来の犯罪


例の北朝鮮引き起こした実験のせいで世界中で大忘却が起こり、メモリーカードで生活する事になった世界の話。
例の短編を取り込んで長編化でもしてるのかと思ってたら、独立した作品らしい。
関連性無い訳ではなく第一部辺りは明らかに短編の「大忘却」の起こった当時の話。
第二部はショートショート連作集で、短編と同じく、人々がメモリーカードで生活するようになった世界で起こる珍妙怪奇…でもないどっかで聞いたことのある話。いわゆるマンガ的なシチュエーションをSF的に表現する類の?

話は第一部、第二部に分かれてはいるが、実際は第一部が短編。第二部が区切りのないショートショートといったかんじ。終わり方は…「delivery」並の、いきなりそこ行くの?言いたくなるような終わり方。ていうかまあ、シチュエーション的には藤子・F・不二雄の「どことなく、なんとなく」で良いんでしょうかね。

第一部

「大忘却」が起こってすぐの話。
なぜか原発が出て来る。タイムリーだからかな?
原発の様なシステムは人間の記憶力に頼って稼働するようなシステムではない云々と言うのはどういう意味なのか…そのまんまかな?ならなんで福島第一原発事故は起きたのか?と。

第二部

メモリーカードに記憶する事によって文明を維持するようになった世界の話。連作ショートショートという感じ。
ここに例の殺人鬼と記憶入替え倒錯趣味の少女の話が出てくるのかとか思ったけど別にそんな事も無かった。
表紙のはどうやらここに出で来る双子のようですね。
個人的に「審神者」って単語が出てきたのに爆笑(笑ったとは言っていない)。刀剣乱舞かなにかやっていらっしゃる?まあ、本来の意味からのルートで使ってるだけだろうけど。

まあ、スラスラ読めたんで割りと良い方かなぁ