「街角の書店」その1


外国作家のアンソロジーという地雷にしか思えないコンセプトなのに、奇妙におもしろい作品集。  
今まで読んだアンソロジーと言えば「新 幻想と怪奇」「天外消失」「サイコ」「死霊たちの宴」「地球の静止する日」ぐらいのだったから、外国作家のアンソロジーはゴミしかないと思っていたが、こういのもあるんだね。期待はしていなかったが(特に編者が映画原作アンソロジー「地球の静止する日」の中村融とくればなおさら)、まあ、初っぱなのタイトルのインパクトとやはり表紙のおかげか

「肥満翼賛クラブ」ジョンアンソニーウェスト

夫を肥らせて品評会をするという話。最初の掴みとしてはなかなか良い線いってるけど、中身はそんな面白くはない。というか、これのおかげでかなりハードル下がる

ディケンズを愛した男」イーヴリンウォー

妻に浮気されてジャングルに探検に出かけた男が命を助けた男から本の朗読をさせられる話。

「お告げ」シャーリイジャクスン

お婆さんの落としたメモを見て行動したら騒動に巻き込まれて、なんやかんやで結局恋人に結婚を申し込む女の話。
電話で結婚するって伝えるまでが何ともシュール。バスで拾ったメモをお告げだと思ってキーワード通りに動こうとするあたり、意味不明なギャグマンガ読んでる気分になった。オチを若干良い話っぽくしてるのもあいまいみーじみてる。

「アルフレッドの方舟」ジャックヴァンス

大洪水が起こるという天啓を受けたアルフレッドは方舟を作りはじめるが誰も話を信じない。そして予言の日の前日、豪雨が降り始めると人々は態度を変えて…

ドラえもんみたいな落ちにでもなるのかと思ってたら。アレはあれで良くできてたんだな

「おもちゃ」ハーヴィージェイコブズ

過去の自分の持っていた何かが売られている店を訪れてしまった男の話。そこには子供の頃持っていたおもちゃのトラックだけでなく、亡くした両親友人恋人などがかざられていたが、そこで買える品物はただ一つ。やがてバーゲンセールを聞きつけた中年婦人が大挙して押し寄せ、自分たちの品物を買っていこうとする。男はここにあるのは全て自分のものだと叫ぶがそれは聞き入れられない。買えるのはただ一つだけ。男は品を手に取りどれを買おうか選ぼうとするが、どれも大切で選ぶことはできない。

俺これで奇妙な味が分かった!

「赤い心臓と青い薔薇」ミルドレッドクリンガーマン

海軍休暇から帰ってきた息子が連れてきた男は赤い心臓と青い薔薇の入れ墨をしていた。家の中で傍若無人に振る舞い、語り手の息子を名乗る男。語り手達が彼を追い出した後、彼女の息子を名乗る男の子が目撃されるようになる。

最初聞き手の方にも何か秘密があるのかと思ったけどそんなことは特にないがっかり作品。

「姉の夫」ロナルドダンカン

休暇を姉とすごすために実家へ向かう弟。電車で乗り合った男と姉がいい感じになり遂に結婚するが、初夜が明けると男は何処かへ消えていた。

弟の夫ではない(戒め)

「遭遇」ケイトウィルヘルム

バス停で知り会った女に取り込まれる話。

一度何かで読んだ気がするな。相変わらず意味不明だった。

「ナックルズ」カートクラーク

子供嫌いの父親が自らが生み出したサンタの対局にある存在に連れて行かれてしまう話。

勧善懲悪

「試金石」テリー・カー

古本屋で不思議な石を買った男だが、その石を持っていると奇妙なことに何もかも満たされてしまう。

なかなか面白い。表紙のイメージに一番あってるからかな。

「お隣の男の子」チャド・オリヴァー

子供のラジオ番組にアンクルジョージに手伝ってもらって人殺しをしていると言う子供が出てきてMCのジミーが手こずる話。

落ちが、だから何?としか言いようがないな

「古屋敷」フレドリック・ブラウン

謎の屋敷に入って入った男が自分から部屋に閉じ込められる話

意味不明。読みにくいし。「未来世界から来た男」から除外されたのもやむ無しという感じ



肝心のフレドリックブラウンがこれでがっかりしてしまった。

こうして書き出すために読み返してみると、あんまたいしたものが載ってない感じがするなぁ