「帰ってきたヒトラー」上

その内バーナード壌が取り上げるかもしれない。取り上げないだろう、多分。

帰ってきたヒトラー 上

帰ってきたヒトラー 上

映画のtrailer見て、なんだか知らんが面白そうだと思って読んでみたものの、別にそこまで面白くはないのでは。というか、どこらへんが諷刺なのかさっぱり分からんすね。
まあ、諷刺なんてもんはその社会に暮らしてなきゃ実感できないもんですしね。自分ドイツ人じゃないのでさっぱりなのは当然よね。スタバが多いとかゴミ分別が面倒くさいとか、まあドイツ人なら嫌に感じるのかも知れないけど、まあ、日本で暮らしてたらまあ、そんなもんじゃね?みたいな気はする。
と言うより、多分この手の昔の人を現代に放り込んで現代社会を皮肉るって多分ここが初めてじゃないしなんぼでも前例があって目新しさも何もないよね。多分ヒトラーで同ネタやった奴いるよね?それじゃ何で今更そんな手垢のついたもんが受けたのかって言うとやっぱドイツで暮らしてる人にはタイムリーなネタだったからでしょうね。つまり局所的。時代が変われば風俗や価値観も変わるもんだし、ネットのある時代と無い時代に書かれたものにはやはり大きな意識の差みたいなものが出るんじゃないですかね。
そんで今更そんな手垢の付いたネタを?と誰もが思ってやらなかったところにうまく滑り込んだんでしょうなぁ。

とりあえず、ヒトラーについても、ドイツの風俗についてもろくに知らない自分が読んだ感想では、ヒトラーの方法論ってのは現代でも有効なんですねぇとかそんなこと。いやでも現代でも孔子だの読んでる人いるし、どういうわけか事あるごとに論語を引用してドヤ顔で語る日本人はそれなりにいるだろう。ということは、それとおなじ感覚でヒトラーのやり方を真似る人は多いのでしょうかね。日本の場合戦国武将あたりがその対象になるんじゃないかな。
それにしてもドイツ人ヒトラー好きねぇ。大罪人みたいな扱い受けてると思ってたのに。だってハーケンクロイツ禁止なんでしょうあの国?ということは教育的にも子供はヒトラーに関して無知である可能性が高いのに、どういうわけかヒトラーの言動にやたら詳しいし。
それにして、途中のグダグダしたなんというか、「わが闘争」からの引用みたいな地の文がなんとも長々と、読んでてうんざりするのだが、この喋り方受けてるの?読んでて読みにくいとは感じないのだろうか?
なんとなく読んでて「じゃあ次は原文にもあたってみよう」と読者に思わせるのが狙いなのではと思ってしまうのだが。
もしかしてドイツでは「わが闘争」は聖書並みのロングセラーに位置してるんだろうか?正直この文というか喋りというか主張がヒトラー的なのかも判断付かないので「へーそうなんだすごいね」意外の感想を思い浮かべるのは自分には無理。

というわけで、「諷刺?何言ってんだこいつ?」以外の感想は浮かびませんでした。まあ、しょっぱなからヒトラー節バリバリな感じなので、そもそも読者は政治に興味があってヒトラー好きの人なんでしょうなぁ。自分にはなんかヒトラー当人と周りの認識が食い違ってるのになぜか受けてるってのが面白くて、一応読了は出来ました。それにしても現在のドイツでは戦争起こってないのに、やたらと戦時下の状況を想定するのはどういうわけなんだろうか。
まあ、ワケの分からん専門用語連発してる中に、自分の分かる話がポンッと出てきたらそれがなんだかとっても凄いことのように思えるといういつもの手段ではないでしょうかね。