その1と言ってももう大半読んじゃったけどね。
- 作者: トマスハリス,Thomas Harris,高見浩
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2012/01/28
- メディア: 文庫
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なんというかまぁ、江戸川乱歩の時代からずっと異常心理を求める人間の嗜好は変わっていないんだなぁと。一遍まともに犯罪心理捜査的な面にスポットを当てて江戸川乱歩作品を映像化したらそれなりに受けそうだけどなぁ。
旧訳で読んだ時の内容は殆ど忘れてて、映画で見た分しか覚えてない。ラスペイルの件とか完全に忘れていた。
なんとも内容が複雑で、映画のように美人捜査官が偏屈な天才犯罪者の協力でシリアルキラー捕まえましたって単純な話ではなく、妙に複雑な要素が色々と絡んでくる。どっちかというと海外ドラマ向きのシナリオっぽい。「レッド・ドラゴン」の前日譚である「ハンニバル」なんてドラマも作られたぐらいだし、こっちもこっちでドラマ化したらどうだろうと思う。
訳は旧訳に比べて分かりやすいとは言われてるけど、その分内容の複雑さが明確になったおかげで必ずしも読みやすいとは言えなくなった感じ。
読み比べはしたいけどこうまで内容がめんどくさいとそんな気も失せてしまう。
旧訳からの分かりやすい差異は以下の3つ。
- 憶測
- クローフォド
- ハニバル
1は旧訳では「臆測」と訳して「臆しながら推測する」みたいなこと言ってたのが、新訳では「assume(推測)すると"u"(you)と"me"(私)が"ass"(笑いもの)になる」と原文そのままの単語を使用している。しかしこれ単なるオヤジギャグだよな。旧訳では講釈垂れてる感じだったけど。
2は「クローフィッシュ(ザリガニ)」と合わせるため「クローフォド」とか無理のある表記になっていたが、普通にクロフォードへ。
3は「カニバル」と文字数合わせるために「ハニバル」表記にしてあったのが、新訳ではそのまんま「ハンニバル」に。それにともなって「カニバル・ハニバル」は普通に「人喰いハンニバル」と表記。
旧版みたくこの手の翻訳しにくい語をアクロバティックに日本語に置き換える「翻訳芸」をやたらと持て囃す人がいるけど、そういうのを多用するやつに限って文の質は大した事無かったりするんだよね。
個人的にはそういう翻訳ヲタ向けのサービスよりも文章力の方の向上をお願いしたいね。