P.K.ディック「まだ人間じゃない」

まだ人間じゃない (ハヤカワ文庫 SF テ 1-19 ディック傑作集)

まだ人間じゃない (ハヤカワ文庫 SF テ 1-19 ディック傑作集)

なんというか、アメリカの文化特有のネタが含まれててなんとも意味のわからん話が多いなという。

フヌールとの戦い

身長が60cmぐらいしかない侵略者のフヌールが人間に化けて地球侵略を行う。
さあ、これもなんかの暗喩かな。アメリカ人にしかわからんアメリカンジョーク。下らない話にしか思えないけど

最後の支配者

アナーキストに世界の政府が打ち倒され、文明が失われた世界。破壊を逃れた一つのロボットは周りを山に囲まれた盆地で失われた文明を再現していた。
「ジェイムズPクロウ」を思い出すような話。

干渉する者

タイムトラベル技術により未来を観測していた政府だが、その未来に基づいて現代を修正すると、今度は人類が絶滅するという未来が観測された。
まあ、これが一番面白いかな。
12モンキーズの逆版みたいな。

運のないゲーム

昔の探偵小説にある詐欺の話が思い出される

CM地獄

CMが過剰に溢れた未来の話。
アメリカには過剰な広告や訪問販売に関する規制ってのが無いのかね。そういう法がないからこその未来像なのかな

かけがえのない人造物

プロキシマとの戦争後、火星のテラフォーミングに携わっていた技術者の話。
「人物像」に空目してた。
というか、「われわれが行ったような戦争に生き残れるものなどありはしない」とか言っててる割に、ビスクルが生き残ってるのはなんで?
あっ(察し)

小さな町

鉄道模型にのめり込んで自分の住んでる町とそっくり同じ模型を作った男の話。
なんか藤子・F・不二雄の短編に似たようなのあったよね。割と分かりやすいオチ。

まだ人間じゃない

たまにアメリカSFで良くある、良くわからん主張の含まれた1編。今回は中絶反対の主張のようで。戦前の日本かよ…。江戸川乱歩の「毒草」を彷彿とさせる。
思想啓蒙としては三流かな。主張をそのまんま羅列して騒ぎ立ててるだけなので共感すら得られそうにない。これなら「エンブリオ」でも読んだ方がマシだろう