ディクスン・カー「蝋人形館の殺人」その1


原題からしたら「蝋人形館の屍体」とかになりそうだが。
蝋人形館で半獣半人の蝋人形に屍体を抱えさせていたってあたりまで読んだが、どう見ても怪しいのはこの蝋人形館の娘ですわな。この先死ぬか犯人化しないと気分悪い。

ジョン・ディクスン・カー。何やら有名な作家らしく、東京創元社創元推理文庫の巻末の紹介には必ずと言っていいほど名を連ねている作家の一人だが、こいつの長編作品読むのはこれが初めて。それというのもいままでの前時代的で古臭く、しかしだからこそおどろおどろしく非常に不気味な印象を与える表紙の絵があまりにも気味悪すぎて、表紙をチラと見た時点で本棚に戻したくなるような代物だったからだ。もちろん表紙がその本の全てというわけではないが、それにしても限度を超えていた。所有欲どころか読む気も失せるという表紙で、よく何十年もあのまんまにしておいたなと感心する位だ。おまけに未だに古い組版のまんまだったし。

夜歩く (創元推理文庫 118-14) 帽子収集狂事件 (創元推理文庫 118-4) 髑髏城 (創元推理文庫 118-12) 不可能犯罪捜査課 (創元推理文庫―カー短編全集 1  (118‐1))



今回の表紙は森美夏で、北神伝奇やら木島日記やらあるいはジョーカーゲームやダブルジョーカーの表紙の人。「D坂」でよくわからん絵師採用してた創元社にしてはまともなセレクト。カー系は全部この人に描かせたほうがいいんじゃないのとか思ってしまうほど表紙全体のマッチ感がすごい。
曲がった蝶番【新訳版】 (創元推理文庫)
とはいえ、また次出るのではまた元の系統に戻りそうですがね


怪奇趣味一辺倒で超自然的な現象の仕業に見せかけた殺人ばかり書いてそうなカーは、趣味的にも対象外だったが表紙のおかげで多少興味が持てた。まあ、江戸川乱歩は好きだが横溝正史嫌いな自分にとっては、カーが対象外になるのもやむなし。
というか、カーとかクイーンとかアガサ・クリスティとか本の数多すぎなんだよ。これ全部読むのかよ…と思うとうんざりするし、どれから手をつけていいのかもわからない。
ところで舞台はパリ、というかフランスなのになんでアメリカ人の語り部がここにいるのだろうか。バンコランの捜査に付き合ってるてことは警察関係者なのか?


ところでわざわざ漫画分野の絵師を採用したということは、ようは未経験者をカーに引きずり込もうと言う意図が多少なりともあると思うのだが、解説では一向にこの作者について解説していないのはどういうわけなのだろう。「常識」過ぎて説明するまでもないという事なのだろうか。
まあ、今だったらWikipediaあるからそっちで調べてくれってことなのかもしれん
Wikipedia:ジョン・ディクスン・カー
ドイツあたりの人なのかと思ってたら、アメリカ人だった。


蝋人形館の殺人 (創元推理文庫)

蝋人形館の殺人 (創元推理文庫)