「未来妖怪」その1

未来妖怪―異形コレクション (光文社文庫)

未来妖怪―異形コレクション (光文社文庫)

ま、タイトルだけみたらどうやっても面白くなさそうだよねぇ。
なぜって未来で妖怪となると、既存の妖怪は使えず、恐らく作者の創造した、今はないが未来に現れるであろう妖怪を延々と見せられる羽目になるからである。
確かに、このアンビバレンツな言葉の組み合わせには惹かれるものがあるが、そこから出てくるものを想像すると、萎える。
もはや、この科学世紀に妖怪などリアリティを持って迎えられないのはごく当然の事であって、前述した様な「自分の考えた妖怪」何ぞを出してこられたら非常に萎える。
もちろんそういうのが好きな連中がいて、そういう連中向けのテーマなのかも知れないが。
しかし考えてみると、こう言うのは、ワイヤードのおとぎ話なぞを作ったlain小中千昭なぞが得意そうではある。というか、ラヴクラフト式に「これが未来妖怪だ」なぞと言って自分の適当なホラーばなしをでっち上げればいいのだからこれほど楽な事はあるまい。所謂、都市伝説が妖怪を体現させる場としては非常に有効である事は、作者自身が了解しているところであろう。
そんでそんな、うそ丸わかりな体験談なぞこっちは聞きたく無いので、当然読書範囲からは外れるのだが、このタイトルから湧き出る不可思議な魅力には抗しきれない。
やるとしたら、やはり京極夏彦式に、妖怪の古さを残しつつ近代的な、了解できる解釈で「現出」させるしかないが、果たしてこの本の中の何人がそれをなし得るのか。
あるいはそれを超えてもっと面白いものをかけるのか。見ものではある。

序文

やはりというか、案の定というか、登場するのはウルトラQやなんかに出てくる創作妖怪の話ばかり。
挙句に「蟲師」まで。
ここまで来ると最早、求めていた、妖怪を妖怪たらしめるものはこの本にないと思われる。

一応、古さこそが妖怪を妖怪たらしめ、それが未来という矛盾する言葉とどう融合するのかということも書いてある。
ならば、それに一筋の希望を抱いて読んでみよう。

「youkai名鑑」化野燐

うーん。一番ダメなパターンだね。昔の妖怪に起源を持っている様ではあるが所詮怪談レベルの話。
まあ、化野燐なのでしょうが無い。
俺妖怪を持ってくるのはこの人の趣味だろうからねぇ。

考えたら、SF要素のある未来って言葉と、想像の産物である妖怪って言葉は、組み合わせると、もうどうにでも好きな様にしてくれと言う様な感じになるよね。
いくらでも作者の妄想膨らませて好き勝手出来そうな雰囲気がある。
SFなんて突飛さを売りにしてリアリティ何ぞは適当に工学的な説明つけてりゃいいだろみたいな雰囲気で、
妖怪となると、昔の人が原因を特定できずに勝手な想像で作り出したものだし。
こうなるといくらでも暴走出来そうだよね…。
もうなんか先が見えたな。