フレドリック・ブラウン「天使と宇宙船」
- 作者: フレドリック・ブラウン,小西宏
- 出版社/メーカー: 東京創元社
- 発売日: 1965/03
- メディア: 文庫
- 購入: 3人 クリック: 38回
- この商品を含むブログ (32件) を見る
「スポンサーから一言」と並ぶぐらいに。
面白いのが序文のファンタジーとSFの違いについて。
どちらも超自然的な現象を扱うことが可能だけど、ファンタジーはそれをもともとあるものとして説明する必要のない物。SFはなぜそれがそこにあるのかというのを説明してある物。
ということらしいですね。
ファンタジーは存在せぬもの、存在しえぬものののことを扱う。
一方、SFは、存在しうるもの、いつの日か存在するようになるかもしれぬものを扱う。SFはみずからを、論理の領域の中に限定するのである。
で、逆にファンタジーから不可思議なモノを取り去ってしまえばそれはSFになると。
- 「悪魔と坊や」Armageddon.
- サーカスにバーガー大王の手品を見に来た坊やとその家族。一方そのころチベットの奥地では悪魔を封印していた水車が壊れたところであった。
- 「死刑宣告」Sentence.
- アンタレスの第二惑星にてアンタレス人を殺してしまったチャーリー・ドルトン。この星では殺人は重大な罪でありその場で死刑宣告が下された。ところが独房へ向かってみると、そこは豪華な食事と寝室とハーレムがしつらえてあった。なんでもこの星では死刑前夜の死刑囚にはこのようなもてなしをするのだとか。
- こんな事やってたら他の星からこの星にアンタレス人殺しにやってくるやつが増えそうだが
- 「気違い星プラセット」Placet is a Crazy Place.
- 「非常識」Preposterous.
- ジェイスン・ウェザーワックス氏は息子ジェラルドの読んでいる雑誌に憤慨していた。「アスタウンディング・ストーリーズ(驚異の物語)」という名のその雑誌には「超光速飛行で他の銀河系へ行く」だの「タイムマシン」だの「テレポーテイション」だの「テレキネシス」だのという「突飛な空想」が綴られていた。「愚劣極まる非常識な三文雑誌」と詰るウェザーワックス氏。朝食の席で子供心をああいう突飛な空想で毒してはならないと妻に注意して朝食を終え仕事に出るとアパートの反重力シャフトへ乗り込み200以上の階から道路まで一気に降り、原子力自動車のタクシーをつかまえて乗り込んだ。ムーン・ポートへ行く間はテレパスキャストで第四次火星戦争の報道を聞こうとしたが、聞こえてくるのはインモータリティー・センターからのお決まりのニュースばかりだった。
- これはどういう事かな?その程度では「驚くべき物語」ではないのか。それとも、自分の使ってる技術も一昔前からすれば空想でしかなかったものなのに同じような想像を紡ぐ物語を非常識と言う輩に対する風刺か
- 「諸行無常の物語」Etaoin Shrdlu.
- ある時ウォルター・メロルドの所に金髪で額の真ん中ににきびのある東洋風な男があらわれ、ライノタイプの特殊な母型を作るように依頼した。彼をLGWTP(little guy with the pimpleの略)と命名したメロルド氏。しかしメロルドは実務をやめていたのでマーゲンサラーとジョージ・ロンソンを紹介した。マーゲンサラーの業者にライノタイプの母型を作らせ、ジョージ・ロンソンのライノタイプを使って版を作らせたLGWTP氏。その後、ジョージ・ロンソンのライノタイプがおかしなことになってしまった
- 例の物体が生物化するっつう割とよくあるSFですね。解決法が変わってるけど。
- いや、さすがに仏典読んだからってそうはならんだろう
- 「フランス菊」Daisies.
- 植物との会話が出来る装置を発明した博士。奥方を呼んで、その装置でフランス菊の言葉を聞かせたところ…
- どっかの怪奇小説みたいな始まり方してるなーと思ったらオチまでそんな感じだったような。
- 「ミミズ天使」The Angelic Angleworm.
- ミミズってWormじゃなくてAnglewormって言うらしい
- 英語の国じゃ割かし真相に気づくのが早いんだろうか?日本語のまんまじゃ解説読むまで何がなんだかだよ。
- 「大同小異」Pattern.
- 1マイル(1.6km)もある巨大な侵略者が100マイル(16km)もある宇宙船でアリゾナ砂漠へやってきた。彼らは実体を持たないのであちらの行動がこちらに何かしらの障害をもたらすこともなく、こちらからの攻撃や意思疎通もあちらには届かない状態が続いていた。アマンダ・メーシーが花壇に殺虫剤を撒き始めたところ、かの巨人たちもなにやら巨大なタンク上のものから霧状のものを撒き始めた
- マイルぐらい日本の標準単位のキロメートルに直しといてくれませんかね
- 「ユーディの原理」The Yehudi Principle.
- アメリカ人ってのは自分に理解出来ないことに遭遇するとすぐに酒飲むんですね。おかげでこの様か
- 「探索」Search.
- 天国へやって来たジョン(ピーター)は聖人ヨハンに出迎えられ、神を探しに出かけた。
- そこは「神」じゃなくて「主(しゅ)」とかにしとくべきなんじゃねーの?そうすりゃ最後に「主(しゅ)」じゃなくて「主(あるじ)」を探してたんだと気づくという。
- ミミズ天使の後あたりに持ってきたほうが良かったんじゃね?天国つながりで
- 星新一ならもっとうまい訳してくれそうだと思ったが「さあ、きちがいになりなさい」には無い。
- 「不死鳥への手紙」Letter to a Phoenix.
- 45年に1日の年をとる男が過去18万年のあいだ見てきた人類とその他の知的生命体についての考え。なんでも知的生命体はある程度まで進化するとそこで衰退して絶滅していくが、人類だけは戦争により自らを退行させることにより、自らを不死鳥のように復活させるのだそうだ。
- 「回答」Answer.
- 人類の住む惑星960億個にある巨大計算機をすべて超回線に接続し、一台のサイバネティクス・マシンにするという試みがドウォー・イヴによって行われた。そして、ドウォー・レインが質問を行った。「神は存在しますか?」「Yes、今こそ神は存在します」
- 「帽子の手品」The Hat Trick.
- 「唯我論者」Solipsist.
- 「ウェヴェリ地球を征服す」The Waveries.
- なんかWaveriesって見るとウェイバリーって読んじゃいそうなんだけど違うのかね?ヴァデル(invaderの略)と韻を合わせるためにか?vaderをヴァデルじゃなくてヴェイダーって読んじゃえばいいのに。
- 「挨拶」Politeness.
- 前作が最終回っぽかったのになんでこれを最後に持ってきたのかよくわからない。