「屍鬼」

屍鬼の血族』、なんていかにも『屍鬼』のネームバリューにあやかろうとしてるのがまるわかりな本を見つけて、
読む気はさらさら無かったのだが、『屍鬼二十五話』と『屍鬼』の屍鬼って大体同じモンだよってな風な紹介してあったので、そんなわけねぇだろと思って『屍鬼二十五話』を読んでみたら屍鬼の解説が載っていた。

六 ヴェーターラについて

本書で「屍鬼」と訳したヴェーターラ(vetala)は鬼神の一種で、死体に憑いてこれを活動させることから、漢訳仏典において、起尸鬼(きしき)、起屍鬼、起屍尸、起死屍鬼、起屍、屍鬼などと訳されている。そして、毘陀羅(びだら)、毘多茶(びただ)(vetada)、[革+卑]陀路婆(びだろば)、迷怛羅(めいたら)などと音写されている。死体に憑く鬼神のみならず、死体を起こす呪法を「ヴェーターラ」と呼んだ例もあるようである。ヴェーターラ、あるいはその呪法が頻繁に出てくるのは密教経典の中であるが、それ以前の仏典中でもしばしばそれについて言及されている。

一応死体が起き上がるという点においては同じモノではあるのか。
まあ、この場合の「屍鬼」は起き上がった死体というより、死体を起き上がらせる要因としてのものだしなぁ。厳密には一緒ではないか。


吸血鬼に関する過去文献等の言及はあっても、「屍鬼」という言葉自体に関する言及は『屍鬼』中では何もなかったので、これとは関係ない単なる造語かと思ってたよ。
仏典中に載っていると言うことからしても、僧職に就いてる室井静信が知っていたとしても不思議ではないしなぁ。
むしろ作中室井が屍鬼のことを出典も出さずに言及してることの方が不思議よね。仏教用語ならそうと説明すりゃいいのに。