フレドリック・ブラウン「73光年の妖怪」

「73光年」というSF的な言葉と、「妖怪」という泥臭い言葉のミスマッチさが興味を引いたので手に取ってみたが、実際は普通の侵略物SF。
原題は"The Mind Thing"で、どうも「知性体」という言葉を「バタ臭い」と感じる訳者のセンスでこういうタイトルになったようだ。どう考えても「妖怪変化」の方がバタ臭いだろがよ。


そんなわけで別に、日本の某SFばりに山ン本五郎左衛門みたいな妖怪が登場する訳じゃないです。あとなんで73光年なのか。
なんか、他の生物に乗り移って体を自在に動かせるとある宇宙生命体が地球に追放されて、なんとか故郷に帰ろうと他の生物に乗り移って色々騒動を起こす話。
いわゆる侵略もののSFだが、結構ポカミスを犯してて、なかなかよくあるSF見たいにスムーズにはいかない模様です。
この知性体が乗り移った生物から分離するためには、その生物の生命活動を停止させなければならないので、それが小動物ならいいが、人間とかになるとかなり問題になるわけですな。


で、これに対抗するのが人間のスターントン博士。物理学教授?。
最初は何かしらの伝染病と考えていたのだが、タイピストのタリーの助けもありついにその正体に肉薄することになる。
が、まあ、意外に呆気ない最後でしたね。確かに緊迫感はあるが。